2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K08524
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 元子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00345018)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | T細胞 / 胸腺内分化 / ヘルパー機能 / TCRシグナル / Thpok / Runx3 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、ヘルパー機能獲得におけるTCRシグナルの必要性とRunx3の役割について詳細に検討した。 はじめにTCRシグナルの直接的な関与を調べるために、正の選択を受けていないCD69-CD4+CD8+ダブルポジティブ(DP)細胞を、 in vitroでTCR刺激した。TCRシグナルを受けた細胞は、ヘルパー機能の指標の一つであるCD40Lの発現を顕著に誘導する一方で、細胞運命決定因子であるThpok、Runx3の発現はいずれも誘導しなかった。つまり、ヘルパー機能の付与は細胞運命の決定がなされる前に、TCR刺激依存的に誘導されることがわかった。TCRシグナルを受けた細胞は、IL-7シグナル依存的にRunx3を発現しCD4-CD8+シングルポジティブ(8SP)細胞へと分化する。そこで次に、このIn vitro実験系を用いて8SP細胞への分化過程におけるCD40Lの発現変化を調べたところ、Runx3依存的に低下することがわかった。この結果は、8SP細胞への運命決定に伴ってRunx3がヘルパー機能を積極的に抑制することを示唆している。つづいて、Runx3によるCD40Lの発現抑制制御をより詳細に解析する目的で、レトロウイルスを用いてRunx3をCD4T細胞へと導入したところ、Runx3を発現したCD4T細胞は、CD40Lの発現が低下することがわかった。 最後に、in vivoにおけるRunx3のCD40Lの発現に対する役割を調べた。機能的なThpokもRunx3も持たないHD.CBFβKO.β2mKOマウスを解析したところ、SP細胞におけるCD40Lの発現が高く維持されることがわかった。 以上の結果より、ヘルパー機能の付与は分化過程の全ての細胞においてTCR依存的に誘導されることがわかった。しかし8SP細胞への分化過程において、一時的に付与されたヘルパー機能はRunx3依存的に抑制される、つまり“機能的な逆転”が起きると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、1)ヘルパー機能の獲得にTCR刺激が重要である点、2)全ての正の選択を受けた胸腺細胞においてヘルパー機能が一旦付与される点、3)一旦付与されたヘルパー機能はCD8T細胞への分化に伴ってRunx3依存的に抑制される、という3点について、様々な遺伝子改変マウスや、in vitro培養系を用いて明らかにした。さらに、ヘルパーCD4T細胞への分化決定因子であるThpokの非存在下であっても、ヘルパー機能の指標の一つであるCD40Lの発現誘導が可能なだけでなく、ヘルパー機能の獲得をし得ることも明らかにした。これは当初の予定以上の進捗である。現在、論文としてまとめて報告できるよう準備している。 一方、マイクロアレイで同定した新規遺伝子群についての解析の進展はやや遅れている。新規遺伝子群の胸腺分化への直接的な影響を見るには、レトロウイルスを用いて目的遺伝子を造血幹細胞へ導入し、致死量の放射線照射したホストマウスに移入し作成したマウス(レトロジェニックマウス)が必須である。導入した目的遺伝子の効果を十分に検出するための遺伝子導入効率の確保が今後の課題である。 以上より、全体としては概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までの研究結果から、ヘルパー機能の獲得にはTCRシグナルが重要であることが明らかとなった。未熟胸腺細胞は選択リガンドに対して様々なアフィニティーを持つTCRを発現しており、胸腺内選択に伴って受け取るTCRシグナルの強さは、各々の選択された細胞によって異なることが予想される。今後は、TCRのシグナルの強さ・長さにより、ヘルパー機能の獲得がどのように異なるか検討する。またヘルパー細胞系列への運命決定因子であるThpokの役割について明らかにする。具体的にはまず正の選択の際に受け取る実際のTCRシグナルの長さを、Rag2-GFP BACTgマウスを利用することにより明らかにする。またThpokを発現させたMHCI拘束性のT細胞を用いることにより、長さの異なるTCRシグナルを受け取った細胞において、どのようにヘルパー機能の獲得が異なるのか、実際のTCRシグナルの長さとの関係を明らかにすることで考察する。これらの結果をまとめ、論文として報告する。 さらに『強いTCRシグナルがT細胞分化に与える影響』について解析を進めるにあたり、アゴニストセレクションに重要な分子として『CD69』に注目する。CD69分子はT細胞の活性化に伴って発現上昇し、胸腺内分化の過程においても発現上昇することが古くから知られている。CD69の発現はTCRシグナルの強さに対してアナログ的に上昇することから、アゴニスト刺激においてはより高く発現することが予測される。この点に注目して、アゴニストセレクションにCD69の発現がどのように関与するか検討する。 以上の研究を通して、『獲得免疫の主役であるT細胞が末梢で正しく免疫応答を発揮するために、胸腺内でどのような機序で分化し機能を獲得するのか』その分子メカニズムを明らかにする。
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[Journal Article] Methylation of Gata3 at Arg-261 regulates transactivation of the Il5 gene in T helper 2 cells2015
Author(s)
Hosokawa, H., Kato, M., Tohyama, H., Tamaki, Y., Endo, Y., Kimura, M. Y., Tumes, D. J., Motohashi, S., Matsumoto, M., Nakayama, K. I., Tanaka, T., and Nakayama, T.
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 290 (21)
Pages: 13095-13103
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Let-7 microRNAs target the lineage-specific transcription factor PLZF to regulate terminal NKT cell differentiation and effector function2015
Author(s)
Pobezinsky, L.A., Etzensperger, R., Jeurling, S., Alag, A., Kadakia, T., McCaughtry, T.M., Kimura, M.Y., Sharrow, S.O., Guinter, T.I., Feigenbaum, L. and Singer, A.
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Journal Title
Nature Immunology
Volume: 16
Pages: 517-524
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Roles of IL-2 on Th9 cell differentiation2015
Author(s)
Sarkar, H. M., Yagi, R., Nakajima, T., Kimura, M., Nakayama, T., and Zhu, J.
Organizer
第44回日本免疫学会総会・学術集会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター (北海道札幌市)
Year and Date
2015-11-18 – 2015-11-20
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