2015 Fiscal Year Research-status Report
神経免疫炎症における異物除去蛋白質AIMの役割の解析
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15K08525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂田 大治 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70456870)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経免疫炎症 / 異物除去 / アルツハイマー / 神経変性疾患 / 免疫炎症 / AIM |
Outline of Annual Research Achievements |
異物除去蛋白質であるAIM(Apoptosis inhibitor of macrophage)の神経免疫炎症での役割を解明すべく、マウスを用いたアルツハイマー病モデルを立ち上げた。アルツハイマーモデルについては、ヒトの家族性アルツハイマー病患者に見られる遺伝子変異のうち、アルツハイマー病発症に重要な役割を果たすと考えられているAPP(Amyloid precursor protein)遺伝子上に4つの変異を導入したトランスジェニック(TG)マウスの作製を試み、結果として8ラインのマウスを得た。これらのうち、2ラインについては繁殖が進んだため、APPから切り出されアルツハイマー病発症の原因の一つと考えられるAbetaアミロイドの脳内での蓄積を指標にスクリーニングを行ったが、ある程度のAbeta蓄積が認められたのは1ラインのみであった。現在、このラインをクリーン化し、SPF環境下で繁殖を進めている段階である。他のラインについては繁殖効率が悪く十分な数が得られていないため、解析が進んでいない。また、脳でのAIMの機能を解析するため、脳特異的にAIMを発現するTGマウスや、DOX(Doxycycline)誘導性に脳にAIMを発現するマウス、ミクログリア特異的にAIMを発現するマウスなどを作成、スクリーニングを行い、いくつかのラインについては目的のマウスができていることを確認している。今後、これらのTGマウス等を用いて神経免疫炎症でのAIMの役割を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アルツハイマー病モデルを含む複数の系統のトランスジェニックマウスを作製したが、アルツハイマー病モデルは病態の発症までに時間が掛かると同時に、繁殖率が良くないラインが出ているため、予定よりもスクリーニングに時間が掛かっている。また当初期待していたほどには良いトランスジェニックマウスが得られなかった。これまで研究遂行者自身が行っていなかった研究分野を新たに開拓しているため、in vitroでの新規実験系の立ち上げ等にも多少時間が掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
諸事情により、所属研究機関が変わったため、着目する標的分子種は変わる可能性が高い。ただし、神経免疫炎症の生物学という観点での研究は引き続き進める予定であり、各種遺伝子改変マウスを中心に個体から分子までを扱い生命現象を解明するという研究のストラテジー自体は変わらない。
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Causes of Carryover |
諸事情により、研究機関を移動することになり、その準備等で一時的に研究が滞った。また、当初、購入予定であったコンピュータの購入を当該年度は見送ったのと出張等がなかったのが大きいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の研究計画にあった標的分子は変わる可能性が高いが、各種遺伝子欠損マウスやトランスジェニックマウスを用い、個体から分子までの役割を解明するという研究のストラテジー自体は変わらない。使用する抗体等に変更がある可能性はあるが、必要最低限の購入に抑える予定である。生化学的実験や分子生物学的実験等には、研究テーマにかかわらず共通して使用できる試薬が多いため、概ね研究計画の通りに使用する予定である。
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