2016 Fiscal Year Research-status Report
視床下部において炎症反応を惹起し、摂食異常を誘導する自然免疫シグナルの機能解明
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15K08527
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
長井 良憲 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 客員教授 (30431761)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自然免疫 / 視床下部炎症 / 摂食異常 / レプチン抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 視床下部におけるTRIF発現細胞の同定:免疫組織染色法を用いて、視床下部におけるTRIF発現細胞の同定を探索した。H28年度は染色条件の検討までで終了したため、発現細胞の同定には至らなかった。次年度に詳細な解析を行う。また、グリオーシスの解析についても遅れが生じたため、次年度に行う。 2) 炎症反応、レプチン抵抗性を誘導するTRIFシグナル伝達経路の解明:WTマウス及びTRIF KOマウスに高脂肪食を摂餌させ、視床下部におけるJNK及びIκBαのリン酸化がTRIF依存性であることを確認した。 3) TRIF上流に位置するTLRと内因性リガンドの同定:リコンビナントStathminをWTマウス及びTRIF KOマウスの脳室内に投与し、TRIF依存性に視床下部におけるTNFα発現上昇、レプチンシグナル阻害(STAT3リン酸化の阻害)が生じることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・高脂肪食による視床下部の炎症シグナル惹起が、TRIFに依存することを明らかにした。 ・StathminがTRIFを介して、視床下部炎症及びレプチン抵抗性を誘導することを明らかにした。以上から、StathminはTRIFシグナルの内因性リガンドであることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究実施計画 1) 視床下部におけるTRIF及びStathmin発現細胞の同定:免疫組織染色法を用いて、視床下部におけるTRIF発現細胞及びStathmin発現細胞を同定する。普通食摂餌WTマウスと高脂肪食摂餌WTマウスを比較検討する。 2) TRIFシグナルによるグリア細胞活性化の解析:高脂肪食により誘導される視床下部のグリオーシスがTRIFに依存するかどうか、組織染色で解析する。また、WTマウス及びTRIF KOマウスからミクログリアを単離し、ミクログリアがStathminによって活性化されるかどうか、またその活性化がTRIFに依存するかどうかを in vitroで解析する。 3) TRIF上流に位置するTLRの同定:TRIFを介する視床下部炎症の惹起に、TLR3とTLR4の両者が関与することを考え、TLR3/4 double KOマウスを作製し、解析する。
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Causes of Carryover |
免疫組織染色法による解析に遅れを生じ、実験計画に遅滞が生じた。遅滞が生じた分の消耗品費として、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に免疫組織染色法による解析を用いて、視床下部におけるTRIFの発現、Stathminの発現を検討する。
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