2016 Fiscal Year Research-status Report
抑制型PILRαの単球浸潤における役割及びその生体内での生理的意義の解明
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15K08531
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊勢 雅子 (香山雅子) 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (70311339)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 単球 / 浸潤 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代病とも言えるメタボリックシンドロームに関連する疾患において、疾患局所に浸潤し組織固有の機能を持ったマクロファージに分化する能力を有する単球が注目されている。申請者らはこれまでに抑制性の細胞表面分子であるPILRαが好中球の動態を負に制御していることを明らかにしてきた。マウスにおける単球はLy6cの発現によって、大きく二つのサブセットに分類される。申請者はPILRαが単球の両サブセットに発現しており、とりわけLy6cネガティブの単球に高発現していることを見出した。このことより、好中球と同様にPILRαが単球の組織への浸潤を制御している可能性が考えられた。そこで、はじめに単球の組織への浸潤にPILRαが関与しているかについて検討した。その結果、細胞―細胞の接着に関与するインテグリンのシグナルを単球においてもPILRαが制御していることを明らかにした。さらに、PILRαがインテグリンのシグナルを制御することで、脂肪組織や肝臓への単球の浸潤を負に制御していることも明らかにした。現在PILRα遺伝子欠損マウスを用いて、PILRαが単球の動態を負に制御することによってメタボリックシンドロームに関与する疾患を中心に、その役割の分子機構の解析を進めている。さらには、予想外にも加齢とともに強皮症様のフェノタイプも示したため、強皮症への関与についても検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PILRαが単球の浸潤を負に制御していることを明らかにしたが、さらにaged PILRα遺伝子遺伝子欠損マウスにおいてより強いフェノタイプを示すために、実験に必要なyoungとagedマウスを十分に確保するのに時間を予想以上に要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ノックアウトマウスの解析を中心に、PILRαのメタボリックシンドロームにおける単球の役割を予定通りに進めていくだけではなく、CRISPRによってPILRα欠損細胞を作成し、in vitroにおいて詳細なる作用機構の分子メカニズムの解析も行う予定にしている。
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Causes of Carryover |
遺伝子欠損マウスの準備等で想定よりも実験の進みが遅くなるという事態が発生しただけではなく、予想外にも皮膚の恒常性の維持の制御にも関与している可能性が出たので、解析の対象となる組織が広がったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に行えなかった動物実験も含め、申請通りの実験計画で解析を進める予定である。
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