2015 Fiscal Year Research-status Report
地域枠医学生の医師不足地域での従事意思についての全国調査
Project/Area Number |
15K08540
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高屋敷 明由美 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80375500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 哲博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40299227)
前野 貴美 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80528480)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 地域枠 / 医学生 / 医師不足地域定着 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】我々は地域枠学生のかかえる困難と将来の進路希望を把握するために、地域枠入学生の追跡調査を行っている。平成27年度は地域枠6年生の将来の希望診療科や地域枠であることへの考えを明らかにすることを目的とした調査を行った。 【方法】対象は、平成22年度の地域枠1年生の全国調査への協力者480名(41大学)である。本調査では地域枠を「卒業後に特定の条件(地域や年数)で就労することを確約して入学する枠」と定義した。平成27年8月~翌年1月に自記式質問紙を用いて、基本属性、診療科希望、地域枠であることへの励み、卒業後の不安および奨学金を返還する可能性などを尋ねた。 【結果】39大学の346名から回答が得られた(回答率72%)。男性58%、出身地は離島・へき地2%、町村部29%、それ以外が都市部であった。もっとも希望の強い専門科は、内科31%、小児科12%、 外科9%、 産婦人科7%、総合診療科6%であった。また、地域枠であることが励みになる:30%、 ストレスに感じる:63%、初期研修施設を選択する上で差しさわりがあった:55%であった.医師不足地域での就労に不安な点として(複数回答)、専門医取得に不利:54%、家庭生活との両立が困難:35%、不便な場所で生活:34%、診療科を自由に選べない:27%、研修の質が低い:19%であった。地域枠で借りている奨学金を返還する可能性は、とてもある:16%、少しある: 17%であった。 【考察】地域の医師偏在を解消する目的で地域枠入学制度が導入されたが、奨学金や卒業後の就労義務をかかえることへストレスを抱えるものが少なくなく、一定数の者が奨学金を返還することを考えていた。地域枠制度が医師不足地域解消に役立つか、今後の動向を把握するほか、地域枠学生の不安やストレスに対するキャリアサポートが必要と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた全国規模の地域枠の6年生を対象としたアンケート調査を41大学480名を対象に実施した。39大学346名から回答が得られ(回答率72%)、平成27年度末に入力を終了して、現在解析中である。別途予定していた地域枠学生を対象したwebアンケートは、アンケート調査の実施で予算執行がほぼ終了したことから実施しない方針とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に実施したアンケート調査の解析を行う。具体的には、記述データの集計後、今後5年前のデータとあわせて、コホート調査のデータベースを構築して、解析を行う。報告書を作成して協力を得た大学に郵送するとともに、得られた結果を医学教育、地域医療関係の国内外の学会における成果発表、論文の投稿を行う。 更に、今までの調査において明らかになった、地域枠学生の将来の医師不足地域での従事意思の変化について、なぜどのようにかわったのかを探る質的調査(インタビュー調査)を実施する。地域枠制度およびその学生支援の状況は大学によって大きく異なるため、複数の大学の地域枠学生を対象に実施する予定である。
|