2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K08543
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
後藤 由和 金沢大学, 医学系, 准教授 (60282167)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心停止 / 病院前救護 / 医療社会学 / 地域医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
心停止に対する蘇生ガイドライン2005準拠期間のデータを用いて開発した院外心停止傷病者の来院直後に医師が判断する「蘇生中止基準」(Critical Care 2013;17:R235、GOTO基準:自己心拍再開なし・除細動適応の初期心電図なし・目撃なしの3項目すべてを満たした場合に蘇生中止考慮)の検証を蘇生ガイドライン2010準拠期間の2011から2012年の院外心停止238,174例を用いて行った。その成果は、第43回日本救急医学会総会(シンポジウム、2015.10、東京)において発表した。すなわち、GOTO基準は、心停止後1か月死亡予測の特異度0.905・陽性的中率99.2%で、ガイドライン2010に準拠した期間においても、倫理的範囲内の誤分類率(0.73%)であり、優れた判断基準であることが示された。さらに、時間因子に関して解析する目的で、病院前自己心拍再開の17,238例を検討した。その結果、院外蘇生時間の延長と共に予後が悪いこと、ショック適応初期心電図例と無脈性電気的活動初期心電図例では35分、心静止初期心電図例では42分の救急隊蘇生時間が、1か月後神経学的予後良好全例の99%超を示す蘇生臨界時間であることを示した。その成果は、欧州心臓病学会(2015.8、ロンドン)で発表し、Journal of the American Heart Association (2016;5:e002819)に掲載された。さらに、病院前自己心拍再開の無い小児院外心停止7332例の予後因子を解析した結果、1か月後の神経学的予後良好と関連する因子は、初期心電図が非ショック心電図であること、目撃のある心停止であることの2因子が独立した因子であることを示した。その成果は、欧州心臓病学会(2015.8、於ロンドン)で発表し、Critical Care (2015;19:410)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿い、全国データの解析が進行し、その成果を国内外の学会で発表し、一部論文(2編)とすることができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
蘇生中止基準に必要と考えられる蘇生時間に関し、小児院外心停止例における検討と、2013年度以降の全国ウツタイン様式救急搬送データを用いた外部検証を今後試みたい。
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Causes of Carryover |
効率的な予算の施行により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度繰り越し額は、消耗品とその他(論文投稿代金等)の代金の一部に補充する。
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Research Products
(7 results)