2015 Fiscal Year Research-status Report
二職種間意思決定プロセスを円滑にする教育プログラムの開発と評価
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15K08566
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 なおみ 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (70288124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 弘高 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90401314)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多職種連携教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
チーム医療の現場で働く医療職(主に医師・看護師)に60分程度のインタビューを行い、他職種との協働に際し困難に感じる場面に関する情報を収集した。 まず、7回の定例会議を開催し、インタビュー項目の精査や、質的分析的方法の検討などを行った。 具体的には、先行研究により報告された多職種協働の推進要因・阻害要因を概観し、インタビュー項目を設定した。実際の調査にあたっては、①今までの協働経験の中で生じた問題の具体例、②その問題への対応、③多職種との協働を重ねるうちに習得した連携の要領、④自らの職種の業務内容と権限に対する理解、⑤他職種の業務内容と権限に対する理解、⑥協働の際に意識する自らの職種上の役割と、チーム内の役割の均衡、を中心に半構成的面接調査を準備した。 研究協力者の募集にあたっては、10の医療機関において協力の呼びかけを行った結果、9施設から研究協力の承諾、またこれらの施設に所属する42名(医師20名 看護師22名)から研究協力の申し出が得られた。このうち初年度内には22名分の面接調査が完了した。 またこれと並行して、インタビュー調査が完了した順に録音データから逐語録を作成し、意味上の最低単位に分割した後、要約およびコード化という作業を経て、質的分析を完了した。 その結果分かったこととして、多職種連携の場において「感情的」な話し方は阻害要因となるため「論理的」な話し方の方が望ましい、という点に関しては両職種共に賛同するが、それぞれどのような言動が「論理的」「感情的」であるかという定義が一致しないといった問題がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.定例会議 各月開催予定の定例会議であったが、2015年5月、7月、9月,11月、2016年1月、2月、3月と、計画以上の頻度で開催することができた。 2.インタビュー調査 医師・看護師各20名、計40名を対象に調査を行う計画のところ、医師20名、看護師22名、計42名より研究協力の申し出が得られた。このうち医師10名、看護師13名に対する面接調査をすでに完了している。 3.データ分析 本報告書提出時点までに得られたインタビュー調査結果に関し、全件を文字化し、質的分析(コード化)を終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.定例会議 引き続き隔月開催の予定であるが、適宜臨時会議を招集し、研究の進捗状況に柔軟に対応する。 2.インタビュー調査 研究協力を申し出た医師・看護師に対する面接調査を完了する。 3.データ分析 全件の質的分析を終えた時点で、これまでに得られた知見を学会発表・論文投稿の形で公開する 4.教育プログラム設計 インタビュー調査結果のうち、教育により改善可能な事象・問題に特化した体験・参加型教育プログラムを設計する。 5.教育プログラム試行 および 参加者事後インタビュー 教育 上記体験・参加型教育プログラムを現職医師・看護師を対象として試行する。また参加者に対し事後インタビュー調査を行い、体験に対する感想を得ると同時に教育効果を測定する。 6.教育プログラム改良 参加者事後インタビュー調査により得られた結果を基に、教育プログラムを改良する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、当該年度内に各地の医療職40名(医師20名、看護師20名)に対するインタビュー調査を完了する予定であった。ところが実際には(1)予想を上回る研究協力申し出が得られたこと、(2)協力者の勤務地が全国にわたり、インタビュー調査の日程調整が難航したこと、から全件のインタビューを年度内に完了するに至らなかった。したがって、主にこれらの調査費用(協力者への謝金および調査に伴う旅費)の未使用分が次年度使用額となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、研究協力者への謝金と、全国各地でのインタビューに伴う出張費に使用する。
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