2016 Fiscal Year Research-status Report
二職種間意思決定プロセスを円滑にする教育プログラムの開発と評価
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15K08566
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 なおみ 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (70288124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 弘高 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90401314)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医師・看護師関係 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、東北・関東・甲信越地方の9医療機関に所属する医師20名・看護師22名に対し、各1時間程度の半構造化面接調査を行った。 また医師12名(男性10名・女性2名、平均経験年数12.9年)、看護師13名(男性1名・女性12名、平均経験年数 17.2年)へのインタビューを終えた時点での中間報告を、第9回日本保健医療福祉連携教育学会学術集会 (平成28年8月21日 昭和大学)にて「二職種間意思決定プロセスを円滑にする教育プログラムの開発と評価(1)医師・看護師間連携のクリティカルポイント調査」と題し、医師・看護師間の①協働における責任と権限、②協働における役割行動、③協働の阻害要因、④対立の回避方法、⑤協働の促進要因の5つの軸に沿って行った。具体的には、医師と看護師の働き方の違い(例:シフト制 対 長時間拘束)および必要性を理解できない依頼や不明瞭な口頭指示が医師・看護師間の協働を妨げる要因となっていることが判明した。これらの結果から、協働を阻害・促進する要因は、①個人への教育介入が可能(例:感情を抑えて話す)、②個人的介入では改善が見込めない(例:協働への組織的支援が欠落している)、③当事者の資質に依存する部分が大きく、教育介入では改善が難しい(例:暴力的態度)問題が抽出され、今後は特に①教育介入可能な要因を中心に教育プログラムを開発することを提唱した。 さらに、上記調査により得られたデータから逐語録を作成し、これを隔月開催の研究班会議において分類・コード化した。その結果、①医師・看護師間の二職種協働を推進する要因、②医師・看護師間の二職種協働を阻害する要因、③医師・看護師の相互の法的役割に対する理解・誤解、④医師・看護師間の指示系統に対する理解・誤解、⑤医師・看護師間の協働における職種上の役割と職位上の役割のバランス といった点が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では、東京近郊の5病院程度において面接調査をする計画であったところ、協力依頼先より予想外の反応が得られ、東北・関東・甲信越の9医療機関でインタビューを実施できることになった。これはデータの信頼性・一般化可能性という観点からは非常に望ましいものの、協力者・研究班構成員双方の日程調整に困難を極め、結果的に当初予定(平成27年12月)より約1年遅れ、平成28年10月に完了することとなった。そのため平成28年度に予定していた、面接調査結果を踏まえての教育プログラム開発・試行には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の遅れを取り戻すため、平成29年度は隔月ではなく毎月研究班会議を開催することとする。これ以外にも研究上の必要に応じて検討の必要な事項や共同で行う作業が生じた場合には、千葉・東京・神奈川の研究機関に所属する研究班構成員の日程調整を容易にするため、ビデオ会議システム等を活用して適宜遠隔会議を開催することとする。 また平成28年度に完了し得なかった教育プログラム開発・試行は平成29年度前半に終え、平成29年度後半は本調査およびプログラム評価を実施する予定である。これにより約1年の遅れを半年分程度取り戻すことが可能になるが、これらの研究成果の公表時期は最終年度以降にずれ込む可能性がある。
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Causes of Carryover |
前述の通り、面接調査の完了に遅れが生じたことで、これらの調査で得られる予定であった数件分のデータの逐語録作成に係る費用が未使用に終わったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
面接調査はすでに完了しており、未使用であった逐語録作成費用は次年度開始後すぐ使用する予定である。
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