2016 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌腹膜播種に対するゼラチンを用いた徐放化製剤による腹腔内化学療法の確立
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15K08586
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角田 茂 京都大学, 医学研究科, 講師 (60597300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 義治 京都大学, 医学研究科, 教授 (60273455)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、1)ゼラチン微粒子のCDDP 徐放化製剤(gelatin microspheres incorporating CDDP: GM-CDDP)の剤形の最適化および生成過程に使用される有害物質である有機溶媒使用の削減、2)ヒト胃癌細胞株を用いた腹膜播種モデルによる治療効果と徐放化による副作用の軽減を詳細に評価し臨床応用へ向けた足がかりとする、3)GM-CDDP の小動物および大動物による薬物動態(PK/PD)の解析を含めた前臨床試験、4)CDDP 以外の他の抗腫瘍薬を用いたゼラチンを使用した徐放化製剤の開発、の4 つのパートとして計画している。平成27年度には製造方法の改良により、アセトンを用いない新たな製法による製剤(Gelatin hydrogel granules with incorporated cisplatin; GHG-CDDP)を開発した。本製剤は、製造ステップの追加により従来みられていた初期バースト現象を抑制することに成功している。 平成28年度には、動物実験において、有害事象の低下を確認した。具体的には、初期バーストの抑制により投与後の血中濃度の上昇がみられないことより、体重減少や骨髄腫腎医抑制、腎障害など全身の有害事象に関して、通常のCDDPに比べて著名な改善を確認している。 抗腫瘍効果に関しても、ルシフェラーゼ導入済ヒト胃癌細胞株MKN45Lucによるマウス腹膜播種モデルでの治療効果を確認している。 現在、臨床応用に向けて、本GHG-CDDPによる非臨床試験に向け、準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度には、動物実験において、GHG-CDDPは通常のCDDPに比し、有意に体重減少や、骨髄抑制・腎毒性が軽減することを確認した。さらにルシフェラーゼ導入済ヒト胃癌細胞株MKN45Lucによるマウス腹膜播種モデルにて抗腫瘍効果を確認している。現在、非臨床試験に向け、準備を行っている。 オキサリプラチンやカルボプラチンなど他のプラチナ系薬剤を用いた徐放化製剤の研究も並行して行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で改良を加えて新規開発したGHG-CDDPによる、有害事象の低減と抗腫瘍効果に関するこれまでの研究結果をまとめていき、社会に報告していくことを目標としている。 同時に、GHG-CDDPによる非臨床試験の準備、および他のプラチナ薬剤による徐放化製剤の開発にも携わっていく予定である。
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Causes of Carryover |
若干の端数が生じた為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算と合わせて使用予定である。
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