2016 Fiscal Year Research-status Report
薬物-飲食物間相互作用の強度に個人差をもたらす遺伝的要因の解明
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15K08596
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大谷 壽一 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (70262029)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子多型 / 薬物相互作用 / 飲食物 / 代謝酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、消化管吸収に関わる機能タンパク質の機能に対する飲食物成分の阻害活性を、遺伝的variants間で比較評価することを目的としている。本年度は、消化管の代謝にCytochrome P450(CYP)3A4とともにかかわるCYP2C9の遺伝的variantsのワルファリン水酸化代謝活性に対するグレープフルーツジュース成分 (ペルガモチン、ジヒドロキシベルガモチン) 及びレスベラトロールの阻害特性解析を実施した。とくに野生型に対する阻害特性を詳細に検討したところ、成分毎にMBIを引き起こすもの、非競合阻害を示すもの、混合型阻害を示すものなど、阻害の様式が成分ごとに多様であることが判明した (日本薬学会第137年会発表。優秀発表賞)。これらの結果を受けて、各遺伝的変異型の酵素活性に対する阻害特性の定量的な解析を進めた。 また、昨年度に引き続き消化管代謝酵素CYP3A4の各種遺伝的バリアントに対する各種アゾール系抗真菌薬の阻害特性についても解析し、天然飲食物成分との阻害特性を体系的に比較するとともに、variants 間の阻害強度の差が実臨床にもたらす影響について in vitro-to-in vivo extrapolation (IVIVE) の手法を用いて評価を進めた。 さらに、CYP2C19についても変異型の構築に向けて検討を開始した。 一方、消化管に発現するトランスポータに関しては、代表的な二種のトランスポータとして organic anion transporting polypeptide (OATP)1A2, OATP2B1 の野生型遺伝子のクローニングを概ね完了した。現在、遺伝的変異を導入し、各遺伝子を発現させたHEK293細胞における各種飲食物由来成分の影響に向けて実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CYP3A4に関する検討はほぼ完了し、CYP2C9 の野生型に対する影響についても検討をほぼ完了している。さらに、OATP1A2, 2B1 についても、クローニングを完了し、2017年度前半には表現型の確認に移れることから、概ね順調な進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では CYP3A4, OATP1A2, MDR1の3種の機能タンパク質を対象とすることを予定していたが、その後の当該領域における研究の進展等に鑑み、その対象を CYP3A4, CYP2C9, OATP1A2, OATP2B1 の4種に変更・拡大し、またCYP2C19についても feasibility を探ることとした。このため、少し手広く検討を行うこととなり、深度という点でからは当初より進展が遅くなる可能性もあるが、可能な限り4種のタンパク質に関して十分な成果を上げて行きたい。
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[Presentation] CYP3A4 genetic variants に対する各種アゾール系抗真菌薬の阻害特性の比較2017
Author(s)
川村 豪, 今岡 鮎子, 秋好 健志, 日比野 英幸, 荒木 拓也, 宮崎 光江, F.P Guengerich, 中村 克徳, 中村 智徳, 山本 康次郎, 大谷 壽一
Organizer
日本薬学会第 137 年会
Place of Presentation
仙台国際センター (宮城県仙台市)
Year and Date
2017-03-25 – 2017-03-27