2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K08606
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
三島 健一 福岡大学, 薬学部, 教授 (00320309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 圭一 福岡大学, 薬学部, 助教 (50509669)
佐野 和憲 福岡大学, 薬学部, 講師 (50534343)
佐藤 朝光 福岡大学, 薬学部, 助教 (90369025)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カンナビノイド / 大麻受容体 / 2-AG |
Outline of Annual Research Achievements |
大麻に含まれるΔ9-tetrahydrocannabinol(THC)は、生体内の大麻受容体を刺激し、不安、驚愕、うつ様行動などの情動を伴う行動に影響を及ぼす。そして、情動は食行動において、食の好みを決定し、摂食行動を実行するために重要な役割を持つ。そのため、大麻受容体とその内因性リガンドは食行動に対し、生理的な役割を果たしていることが予想される。しかし、その詳細は明らかとなっていない。本研究課題は偏食が大麻受容体とその内因性リガンドをはじめとする脳内環境に与える影響を解明し、その仕組みを応用した創薬を目的としている。我々は食習慣(偏食)が食の好みと大麻受容体やその内因性リガンドをはじめとする脳内環境に及ぼす影響を解析した。その結果、高脂肪食を摂食し続けた時、脂肪を好む性質(食の嗜好性)が形成され、この食の嗜好性形成過程にカンナビノイドが関わることを明らかにした。動物が高脂肪食を与えられた環境に置かれたときに2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)量が一過性に増加する時期(3-7日目)と2-AG量が常時増加する時期(14日目以降)の比較を行う目的で脳サンプルを作製し、解析した。その結果、多くの遺伝子について発現量が変化することが明らかとなった。そのため、高脂肪食を摂取し続けた動物の3日目と14日目の脳内環境が異なることが明らかとなった。以上のことから、偏食はカンナビノイドを含む脳内環境を変化させ、食の嗜好性に影響を与えることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、偏食は脳内のカンナビノイドに影響を与えることを明らかにした。本年度は、偏食は脳内のカンナビノイドに加えて、多くの遺伝子の発現量を変化させることを明らかにした。さらに、THCを投与した動物の超音波発声を測定した。その結果、THCは生体外部刺激後の超音波発声を増加させることが明らかとなった。また、本年度の研究により得られた成果は、 第30回(平成28年度)薬物依存臨床医師研修会・第18回(平成28年度)薬物依存臨床看護等研修会/国立精神・神経センターにて、表題「大麻によって発現する動物の異常行動」の中で、発表した。また、研修会を通して、舩田正彦先生をはじめとする専門家の方々と意見交換を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食を与え続けて、脳内環境の変化した動物について、解析と行動を引き続き解析する。THCは超音波発声に影響を与えることが明らかとなった。超音波発声は動物の情動反応を反映していると考えられていることから、これらの成果を利用して次年度、偏食によって引き起こされたカンナビノイドを含む脳内環境の変化が、情動反応に与える影響について、検討する予定である。
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Research Products
(1 results)