2016 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞における神経細胞死誘導機構の解明と急性期血液診断法の開発
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15K08615
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
細見 直永 広島大学, 病院(医), 講師 (70363190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲也 広島大学, 病院(医), 講師 (00435942)
辻田 麻紀 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (10253262)
松本 昌泰 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (20192346) [Withdrawn]
神沼 修 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (80342921)
田中 茂 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (20512651)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中医療向上のため、脳卒中発症予測や早期発症診断を可能とする診断技術向上が必要である。しかしながら、未だ脳卒中の急性期血液診断を可能とする決定的なバイオマーカーは見いだされていない。脳梗塞発症に伴い血中に増加する中枢神経障害特異的な液性因子の網羅的探索により、神経細胞死と関連しうる機能未知の候補蛋白質(TMEM95)を見いだした。そこで本研究は、当該分子における生理的機能および中枢神経障害との因果関係を追求し、脳梗塞における神経細胞死機序の一端を解明することを目的としている。それにより、脳梗塞の新たな治療法を開発する上での手がかりを得ると共に、この機能未知分子に対する定量的な検出法を樹立し、病態生理学的根拠に基づく急性期脳梗塞に対する新たな血液診断法開発を目指している。 昨年度は、研究計画に則り、1. 低酸素刺激による神経培養細胞におけるTMEM95 の発現の解析、2. 機能未知蛋白質であるTMEM95 が血中に放出されるメカニズムの解析、3. TMEM95 で誘導される神経細胞における細胞死の新たな分子メカニズムの解析、4. TMEM95 の脳組織での発現と局在の検証を行った。剖検脳の免疫組織化学的検討を行い、脳梗塞急性期症例ではpenumbra~core領域に神経細胞細胞質に陽性顆粒状構造物が多く検出された。また、培養細胞(ヒト神経芽細胞腫由来のSH-SY5Y培養細胞およびマウス神経芽細胞腫由来のNeuro2A培養細胞)を用いたTMEM95の細胞内局在の経時的検討を行った結果、昨年度は、非低酸素刺激下で核内に陽性所見を認め、1%低酸素刺激下で8時間以上培養した細胞では、細胞質内に顆粒状凝集体を認めた。本年度は、新たな抗体で同様の検討を行い、正常環境下で細胞質内に陽性所見、1%低酸素刺激下で細胞質内に顆粒状凝集体を認めた。また、6. 血中の機能未知蛋白質であるTMEM95 が急性期脳梗塞のバイオマーカーになりうる可能性の検証のために必要な抗体を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度には、研究計画に則り、1. 低酸素刺激による神経培養細胞におけるTMEM95 の発現の解析、2. 機能未知蛋白質であるTMEM95 が血中に放出されるメカニズムの解析、3. TMEM95 で誘導される神経細胞における細胞死の新たな分子メカニズムの解析、4. TMEM95 の脳組織での発現と局在の検証を行ってきた。そのうち、1,4については結果を得つつあるところであり、2,3については実験を始めていたところであったが、従来使用してきた抗体の信頼性が低いことが判明した。そのため、新たに作成した抗体を用いて、同様の検討を行ったところ、前述のように昨年度とは異なる結果を認めた。そこで、新たに作成した抗体の信頼性の検証を行っている。 従って、当初の予定通り研究は概ね進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、1. 低酸素刺激による神経培養細胞におけるTMEM95 の発現の解析、2. 機能未知蛋白質であるTMEM95 が血中に放出されるメカニズムの解析、3. TMEM95 で誘導される神経細胞における細胞死の新たな分子メカニズムの解析、4. TMEM95 の脳組織での発現と局在の検証を進めるとともに、本年度以降に予定していた6. 血中の機能未知蛋白質であるTMEM95 が急性期脳梗塞のバイオマーカーになりうる可能性の検証、7. TMEM95 を分子標的とした急性期脳梗塞治療法の開発のための予備検討に向けて順次実験を始める。本年度より使用を開始した新たな抗体の信頼性の検証を行った後、改めて1,4の検討を行う。6については、ELISAの系を構築する必要があり、そのために必要な抗体を作成中であり、作成後その信頼性の検証を中心に進める。
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Causes of Carryover |
効率的に使用した結果、残余金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度予算に合算し、適切に使用予定である。
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[Journal Article] The multidisciplinary swallowing team approach decreases pneumonia onset in acute stroke patients.2016
Author(s)
Aoki S, Hosomi N, Hirayama J, Nakamori M, Yoshikawa M, Nezu T, Kubo S, Nagano Y, Nagao A, Yamane N, Nishikawa Y, Takamoto M, Ueno H, Ochi K, Maruyama H, Yamamoto H, Matsumoto M; Hiroshima University Hospital Stroke Swallowing Team
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Journal Title
PLOS One
Volume: 11
Pages: e0154608
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Prediction of pneumonia in acute stroke patients using tongue pressure measurements.2016
Author(s)
Nakamori M, Hosomi N, Ishikawa K, Imamura E, Shishido T, Ohshita T, Yoshikawa M, Tsuga K, Wakabayashi S, Maruyama H, Matsumoto M.
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Journal Title
PLOS One
Volume: 11
Pages: e0165837
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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