2015 Fiscal Year Research-status Report
体系的ゲノムワイド解析にもとづく舌下免疫療法の有効性診断法の開発
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15K08626
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
後藤 穣 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80281426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神沼 修 公益財団法人東京都医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (80342921)
中谷 明弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60301149)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 舌下免疫療法 / アレルゲン免疫療法 / ゲノムワイド解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
スギ花粉特異的IgE 陽性のスギ花粉症患者約200名を対象とし、スギ花粉舌下液を用いたSLIT を2年計画で開始した。治療実施前(実施済み)、中および後に数回採血し、血清、血球および遺伝子(RNAおよびDNA)を採取する予定である。2年間の治療終了後に、臨床症状やQOLスコアにもとづいて有効性を評価し、極めて有効性の高い患者約30人(著効群)と全く症状改善がみられない(または増悪した)患者約30人(無効群)を抽出する。 治療開始前の患者血液の一部から密度勾配遠心法により単核球画分を分離後、細胞表面マーカーであるCD3, CD4, CD8, CD14, CD16, CD19, CD25, CD123, CD11c, BDCA-1,およびBDCA-4 等に対する蛍光標識抗体で染色し、セルソーティングシステム付きフローサイトメーター(FACSAria 、BD バイオサイエンス社)を用いてT 細胞、B 細胞、骨髄系樹状細胞、形質細胞様樹状細胞、好塩基球および好酸球などの存在比率を確認すると共に、それらの細胞を分取してRNA 保存液中で保存する。この作業を全ての患者について実施し、治療終了後の比較解析に供する。 患者血液からゲノムDNA を抽出しゲノムワイド遺伝子多型解析に供する。特に、発現遺伝子や蛋白量との相関性が高いといわれるCNV について、Human HapMap DNA NA19000 (Japanese,Male)コントロールDNA を対照としたHuman CNV マイクロアレイ(Agilent 社)による解析を行う。これを著効群および無効群患者について実施し、治療効果予測アルゴリズムの作成および血清パラメーターおよび発現遺伝子との統合解析に供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
舌下免疫療法は計画通り実施できており、2年間の治療有効性によって著効群・無効群の抽出を行う計画である。2群間の比較を行うことによって治療有効性を判断できる指標を探索する。
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Strategy for Future Research Activity |
治療前、中、後に採血した血清中の各種サイトカインレベルにつき、マルチサイトカイン測定システム(Bio-Plex Suspension Array System、Bio-rad 社)により網羅的に測定する。また分取した各種白血球における発現遺伝子について、Human Gene 1.0ST Array(Affymetrix 社)を用いてマイクロアレイ解析を実施する。 SLIT 終了後における有効性評価と血清パラメーターおよび発現遺伝子を対象としで開発したAdaBoost 法に基づいた手法を適用し、有効/無効を判定するアルゴリズムを作成する。特に本研究では、患者にSLIT を実施する前に効果予測が可能になることを目標とするため、治療前のデータのみを用いてどの程度の精度で著効/無効が予測できるか明らかにする。またその際、遺伝子多型→発現遺伝子→血清パラメーターの連動性を加味した統合的な解析や、各パラメーター相互の関連性に着目した系統的クラスター解析を行うことによって、遺伝学的根拠に立脚したより信頼性の高い選抜マーカーセットを決定する。
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Causes of Carryover |
初年度は治療開始年であり、治療中、治療後のサンプルを集積している途中である。解析の準備段階であるために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究は概ね順調に進んでおり、次年度には集積できたデータを解析するために使用する計画である。
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