2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーと蛋白質アレイを用いた骨髄腫病態解析と新規治療法の開発
Project/Area Number |
15K08644
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高松 博幸 金沢大学, 医学系, 助教 (70401932)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 多発性骨髄腫 / 次世代シークエンサー / 微小残存病変 / 自己抗体 / マルチパラメーターフローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄腫細胞の微小残存病変(minimal residual disease: MRD)検出を、極めて高感度とされる次世代シークエンサー (next-generation sequencing: NGS)法やマルチカラーフローサイトメトリー(multipleparametric flow cytometry: MFC)法で行った結果、MRDが検出されない、極めて深い寛解が得られた複数症例の血清中で検出された抗X抗体のターゲット抗原を蛋白質アレイで同定した。抗X抗体が認識する抗原Xは、骨髄腫細胞株、骨髄腫細胞、白血病細胞など種々の腫瘍細胞で高発現していたが、健常者末梢血細胞では低発現であった。本抗原Xは細胞表面に発現している可能性があり、現在その発現を確認している。 また、前記したMFCのうち、世界的に標準化されたEuroFlow-MFCの技術をスペイン・サラマンカ大学から導入し、骨髄腫症例でのMRD検出をルーチン検査として行えるようにした。現在、自家末梢血幹細胞移植を施行した多発性骨髄腫症例でのMRD検出をNGS、EuroFlow、さらに日本の保険診療での実施が可能な簡素化したEuroFlow法で行い、比較検討している。これまでの検討では、NGS、EuroFlow、簡略化したEuroFlowの3者でほぼ同程度の感度が得られている。 これまでに自家末梢血幹細胞移植を施行した多発性骨髄腫症例で使用した自家移植片中のMRDがNGSで陰性の場合、自家移植後に地固め・維持療法などの追加治療を施行しなくとも長期間の無増悪生存が得られることを明らかにした。その結果を記載した論文は現在審査中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度で予定したMRD検出法を確立した。また、平成29年度で予定していた、MRD陰性の極めて深い寛解を達成した患者血清中の自己抗体(抗X抗体)と自己抗原Xを蛋白質アレイを用いて同定できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度では、MRD検出の臨床的意義を総括し、また骨髄腫細胞や他の癌腫細胞、健常細胞での抗原Xの発現を、測定する。さらに、抗X抗体の機能を解析する予定。
|
Research Products
(11 results)