2017 Fiscal Year Research-status Report
クームス陰性自己免疫性溶血性貧血の網羅的診断システムの確立
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15K08651
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
亀崎 豊実 自治医科大学, 医学部, 教授 (90316513)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己免疫性溶血性貧血 / クームス試験 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
稀少疾患であるクームス陰性自己免疫性溶血性貧血(AIHA)症例を全国レベルで集積し、3病態(クームス試験感度以下の赤血球結合IgG、IgA/IgM型自己抗体、低親和性自己抗体)を網羅したデータベースの構築を目的に、全国から原因不明溶血性貧血患者の精査を受け付け、平成29年度は92例の精査を行った。92例の内訳は、年齢は6ヶ月から94歳で、男女比は49%/51%、直接クームス試験陰性例は95%であった。赤血球結合IgG定量値としては1-1091 IgG分子/赤血球で、抗IgAクームス試験陽性は7例、抗IgMクームス試験陽性は10例であった。また、カラム法抗IgGクームス試験は23例で陽性となり、赤血球洗浄後に13例が陰性化した(低親和性IgG自己抗体の疑い)。検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてのアンケート調査を行い、最終診断とする予定であり、治療反応性や短期予後についても明らかにする予定である。平成29年度は例年通りの100件弱の依頼があった。通常4割程度がAIHAと診断されていることから、順調な症例の蓄積が行われていると考えられる。平成30年度にはこれまでの症例をまとめて、3病態の頻度・治療反応性・予後についての論文の作成を行う予定である。 精査結果を基にした1件の症例報告論文の共著者ならび2件の学会発表の共同演者となった。また、AIHAに関する3冊の書籍の共同執筆者となり、1冊の書籍の執筆を行った。4編のAIHAに関連した総説を執筆した。輸血学会セミナーと血液事業学会シンポジウムでAIHAに関する講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、全国から原因不明溶血性貧血患者92例の精査を行った。直接クームス試験陰性例は95%であった。赤血球結合IgG定量でクームス感度以下の症例が89例、抗IgAクームス試験陽性は7例、抗IgMクームス試験陽性は10例であった。また、カラム法抗IgGクームス試験は23例で陽性となり、赤血球洗浄後に13例が陰性化した(低親和性IgG自己抗体の疑い)。検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてのアンケート調査を行い、最終診断とする予定であり、治療反応性や短期予後についても明らかにする予定である。平成29年度は例年通りの100件弱の依頼があった。通常4割程度がAIHAと診断されていることから、概ね順調な症例の蓄積が行われていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も全国から原因不明溶血性貧血患者の精査を受け付け、平成29年度と同様に赤血球結合IgG定量、抗IgAクームス試験、抗IgMクームス試験、洗浄前後のカラム法IgGクームス試験を行い、クームス陰性AIHAの3機序についてのデータを蓄積し、検査の1年後に主治医に対して臨床診断と経過についてアンケート調査を行い、最終診断と治療反応性ならびに短期予後についても明らかにする。また、集積したデータに基づいて論文を作成している。
本研究結果の解析より、当初予想していなかった治療反応性などが異なる患者集団の存在が推測された。診断後の再検査の追加実施や診断1年後の状況アンケートの回収の徹底などにより、病態の推移や診断状況の把握がより精密化でき、より詳細な網羅的診断システムの構築ができると考えたため、来年度1年の研究期間の延長を希望した。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究結果の解析より、当初予想していなかった治療反応性などが異なる患者集団の存在が推測された。診断後の再検査の追加実施や診断1年後の状況アンケートの回収の徹底などにより、病態の推移や診断状況の把握がより精密化でき、より詳細な網羅的診断システムの構築ができると考えたため、来年度1年の研究期間の延長を希望した。これに伴い、抗体標識用のアイソトープ購入など年度を跨ぐこととなったため、次年度のアイソトープならびに標識医薬等の購入に使用するため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)新年度にはアイソトープならびに標識試薬などを購入する予定である。
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Research Products
(14 results)