2015 Fiscal Year Research-status Report
蛋白質立体構造解析と分子動力学に基づくEGFR分子標的薬の効果予測と創薬
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15K08652
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 教授 (80291326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
広川 貴次 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (20357867)
中村 浩之 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (30274434)
大塚 弘毅 杏林大学, 医学部, 助教 (70439165)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子動態モデリング / EGFR |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】肺癌細胞株における各種EGFR-TKIの添加実験:本年度は、各種のEGFR変異をもつ肺癌細胞株に対して、各種EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)を添加し、MMTアッセイによりIC50を求めた。 使用したEGFR-TKI:①gefitinib(第1世代)②erlotinib(第1世代)③afatinib(第2世代)④dacomitinib(第2世代)⑤rociletinib(第3世代)⑥AZD9291(第3世代) また、過去の論文を検索し、各種のEGFR変異を有する肺癌細胞株に対しMMTアッセイを行った研究を見出し、EGFR-TKIに対するIC50を論文から明らかにした。その結果、第1世代のEGFR-TKIに対しては、delE746A750変異, L858R変異、delE746A750+T790M変異、L858R+T790M変異、V843I+L858R変異の順に効果が高かった。一方、第2世代、第3世代のEGFR-TKIは、第1世代のEGFR-TKIに比べ、T790M変異を有する細胞株に対し有効性が高かった。 【2】阻害剤結合部位特徴解析:L858R、L858R+T790M、delE746A750変異、delE746A750+T790M変異、V843I+L858R変異、および変異を有しない6種のEGFR蛋白に対し、EGFR-TKI結合ポケットのタンパク質変異に基づく空間形状変化を、計算プログラムMOEのSiteFinderを用いて解析し、EGFR-TKIのアフィニティーについて予測した。その結果、上記した細胞株におけるEGFR-TKIの効果と概ね一致する結果が得られた。しかしながら、構造予測では、delE746A750変異よりL858R変異の方が第1世代EGFR-TKIに対する有効性が高いと予測された点は、細胞株の実験と異なる結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<成果の上がった点> 動的立体構造解析の結果は、概ね細胞株を用いたin vitroの実験結果と一致しており、本解析法の有用性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、立体構造解析結果と実際の細胞株実験で乖離が見られたdelE746A750変異とL858R変異に対する第1世代TKIの有効性について、より正確な予測ができるような解析モデルを開発することを目指す。
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Causes of Carryover |
一部の細胞株の実験については、過去の論文で同様の実験が行われていたことから、これで代用したため、その分の細胞株の購入費用やアッセイの試薬代が減額となった。また、学会発表の旅費分も使用していない。これらの理由により、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、新たな立体構造解析法の開発に使用する予定である。
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