2017 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌をはじめとする消化器系腫瘍の新規腫瘍マーカー・ラミニン関連分子の開発
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15K08655
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
安田 宏 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80262129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 博幸 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (40332910)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / バイオマーカー / ラミニンγ2 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度までの検討で、化学発光免疫測定法( chemiluminescent immunoassay; CLIA)による、より自動化が可能なLn-γ2単鎖のアッセイ法を構築した。健常人ボランティア52例、慢性肝疾患(CLD: chronic liver disease)24例、肝細胞癌(HCC)症例57例におい て既存マーカーであるAFP、PIVKA-IIと比較して検討を行いより有用なバイオマーカーであることが明らかになった。Ln-γ2単鎖とPIV KA-IIの組合せは、これまで肝癌診療ガイドラインで推奨されているAFPとPIVKA-II単鎖の組合せより、よりHCCの診断に有用なバイオ マーカーである可能性が示唆された。Ln-γ2単鎖の各病期におけるHCC患者での陽性率は,I期 5/10例(50%),II期 12/18例(67%) ,III期 13/21例(62%),IV期 6/8例(75%)であった。同様にAFPではI期20%,II期44%,III期67%,IV期75%,PIVKA-IIではI期50%, II期56%,III期76%,IV期88%であり、ステージI/IIのHCC早期例の診断にも有用であった。肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行したHCC 29例で治療前後のLn-γ2単鎖とCT画像で治療効果を検討すると、9例(31%)でTACE後にLn-γ2短鎖の低下を認め、治療が有効であったCRあるいはPRは8例(89%)で、 PDは1例(11%)であった。一方、TACE後に血清Ln-γ2短鎖の上昇を認めた20例(69%)では,CRあるいはPRが 9例(45%)で、治療が無効であるSDあるいはPD は11例(55%)であった。血清Ln-γ2短鎖低下群で有意な腫瘍縮小効果(CRあるいはPR)を認めた。診断だけでなく、治療効果予測にも有用なバイオマーカーである可能性 がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血清Ln-γ2単鎖は肝細胞癌の最も基本的な腫瘍マーカーであるAFPより陽性率が高く、臨床応用が可能なマーカーとなり得る。PIVKA-I Iとの組合せは、従来より行われているAFPとPIVKA-IIとの組合せより、より臨床的に有用なマーカーとなる可能性を示した。これらの成 果の一部をまとめ、国内外の学会で発表して注目を集めた。Cancer Science誌に報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
①膵癌での検討:膵癌は早期診断が困難な難治消化器癌である。これまでの少数例の検討では Ln-γ2単鎖の上昇を膵癌患者で認めた。膵癌、および良性膵疾患で血清Ln-γ2短鎖の検討を行う。 ②Ln-γ2上昇機序の検討:Ln-γ2は腫瘍先進部で発現が亢進することが知られている。1).切除膵組織を用いて、免疫組織化学的にLn-γ2短鎖の浸潤部での発現と脈管浸潤などを検討し、血清値と対比する。2).肝細胞癌において、特に門脈浸潤の有無をCT画像的に評価し、Ln-γ2値と対比検討する。
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Causes of Carryover |
3年間の検討で、本研究の主要な目的である化学発光免疫測定法(CLIA)による血清Ln-γ2単鎖測定が 肝細胞癌の診断に有用で、PIVKA-2との組合せは既存のPIVKA-2とAFPの組合せより臨床的に有用である可能性があることをCancer Science誌に報告した。この間、膵癌診断に有益である可能性が明らかとなり、症例の蓄積と解析、論文作成のため1年間の延長が必要となった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Serum monomeric laminin-γ2 as a novel biomarker for hepatocellular carcinoma.2017
Author(s)
Kiyokawa H, Yasuda H, Oikawa R, Okuse C, Matsumoto N, Ikeda H, Watanabe T, Yamamoto H, Itoh F, Otsubo T, Yoshimura T, Yoshida E, Nakagawa M, Koshikawa N, Seiki M.
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 108
Pages: 1432-1439
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Impact of resistance-associated variant dominancy on treatment in patients with HCV genotype 1b receiving daclatasvir/asunaprevir.2017
Author(s)
Ikeda H, Watanabe T, Okuse C, Matsumoto N, Ishii T, Yamada N, Shigefuku R, Hattori N, Matsunaga K, Nakano H, Hiraishi T, Kobayashi M, Yasuda K, Yamamoto H, Yasuda H, Kurosaki M, Izumi N, Yotsuyanagi H, Suzuki M, Itoh F.
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Journal Title
J Medical Virology
Volume: 89
Pages: 99-105
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Identification of a FGFR3-TACC3 fusion in esophageal cancer.2017
Author(s)
Mizukami T, Sakai K, Naruki S, Taniyama T, Horie Y, Izawa N, Tsuda T, Fujino T, Boku N, Yasuda H, Fukunaga T, Nakajima TE, Nishio K.
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Journal Title
Annals of Oncology
Volume: 28
Pages: 437-438
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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