2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性肝疾患における治療経過観察・発癌予測に対する超音波を用いた肝線維化評価の検討
Project/Area Number |
15K08656
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
刑部 恵介 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (30290167)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 健太郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60201852)
橋本 千樹 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (60378049)
川部 直人 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (90410729)
西川 徹 藤田保健衛生大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20410714)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 肝線維化 / 慢性肝炎 / 肝硬変 / 経過観察 / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝炎ウイルス感染による慢性肝炎は進行するに従い炎症性変化が強くなり、組織は線維化を来し最終病態である肝硬変となり、肝細胞癌の発癌へと進行していく。臨床の場に求められているのは肝組織の線維化を中心とした病態期を正確に診断することにあるが、患者への負担が少なく、低侵襲的かつ繰り返し検査可能な事も重要な点として挙げられる。今現在、肝線維化評価のgold standardは肝生検による評価であるが、肝生検は侵襲性が強く、判読する病理医の主観に左右される部分も有した評価法である。そこで、非侵襲的に肝線維化を評価する手法として超音波を用いた様々な肝線維化評価方法が開発された。 本研究では肝線維化評価方法である肝硬度値(LS値)と剪断弾性波の伝搬速度(Vs値)測定について、肝炎ウイルス感染による慢性肝疾患の経過観察への有用性や発癌予測の可能性を見出すことを目的とする。 本年度は2005年から計測しているFibroscanによるLS値測定、2009年から計測しているVirtual Touch Quantification(VTQ)によるVs値測定、さらに2016年から計測しているElastPQによるVs値測定の測定データの収集および同時期に行われた血液データの収集を継続して行った。その中でも昨年度はHBV感染におけるVs値測定の有用性についてそのデータをまとめ論文を発表した。本年度はHBV感染患者を対象に経過観察での変化などの検討を進めた。今後はこのデータをもとに論文化を進めている。さらにHCV、HBV感染による慢性肝疾患における発癌の予測に関して検討を開始している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続して対象患者よりLS値およびVs値のデータを取得しており、同時期の血液データと共にデータベース化している。2016年度からはHBV感染も対象としてVs値について、従来から用いられている血液データによる間接的肝線維化マーカー(血小板、プロトロンビン時間など)や直接的線維化マーカー(ヒアルロン酸など)との比較を中心に行っている。これらの検討により、HBV感染による慢性肝疾患においてもVs値は各種線維化マーカーや病理組織診断と良好な相関関係を証明することができた。この結果と以前検討を行ったHCV感染による慢性肝疾患とまとめた結果を第28回 日本臨床化学会東海・北陸支部総会のシンポジウムにて講演および寄稿した(超音波検査によるび漫性肝疾患の評価-B モード,ドプラ,肝硬度測定-.臨床病理.第65巻12号P1309-1316.2017.)。さらに3機種による肝硬度値測定について比較検討し、第42回日本超音波検査学会学術集会で発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
HBV感染による慢性肝疾患患者のVs値測定の有用性は明らかにできたので、経過観察を行っている患者を対象とした核酸アナログ療法治療群と非治療群におけるVs値の変化に加え、変化を引き起こす因子の検索について検討を進めている。さらに、同様の検討を長期間計測できているLS値でも同様に検討を行い、Vs値、LS値による発癌予測についても検討を開始する。 今後の研究を進めるにあたり、当初の予定より検査施行数の増加し、さらに2016年度からは新機種も導入されたため共同研究者の増員を考えており、データ入力端末のためのタブレット型端末やデータ解析および管理のためのディスクトップPCなどの機器の拡充も行う予定である。
|
Causes of Carryover |
理由:本研究を申請する段階で、本研究費で計測を予定していた新規の血液線維化マーカー(M2BPGi)が保険適応になったため、一昨年度よりその費用の一部が必要なくなった。 使用計画:計測項目の増加や長期間の経過観察の観察を要するため共同研究者もしくは連携研究者が増やすことを計画しており、そのため入力端末や個々の情報収集のための旅費などを拡充する予定である。さらに経過観察群には病態や治療効果に影響を及ぼすウイルスの遺伝子についても解析を進める。なお、今現在はその対象者の選定などを進めている。
|