2016 Fiscal Year Research-status Report
Clostridium difficileの簡易分子疫学解析法開発
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15K08663
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Research Institution | Aichi Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
鈴木 匡弘 愛知県衛生研究所, 生物学部細菌研究室, 室長 (70446649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子疫学解析 / Clostridium difficile / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床分離された65株のClostridium difficileのPCR-ribotyping解析ならびに全ゲノム塩基配列データの取得を行った。65株は24のPCR-ribotyping型に分類された。主にST17の株から構成されるPCR-ribotypingのクラスタに分類された分離株数が14株と最も多く、次いでST2を含むクラスタ(10株)、ST81(6株)を含むクラスタと続いた。 C. difficileのPCR-ribotypingパターンならびに全ゲノム塩基配列データPCR-ribotyping及びMLSTの結果を基に代表株を選別し、菌株毎に保有状態の異なるORFの保有パターン調査を行った。保有状態を調査する候補ORFは、インターネット上のゲノムデータおよび、臨床分離株のドラフトゲノムデータを比較、検討し、選別した。代表株における候補ORFの保有パターンはPCRによって調査し、PCR-ribotyping型及びMLST型と相関するORFのセット、及び同一PCR-ribotyping型をさらに分けるためのORFを選抜した。 臨床分離株を用いたPCRによるORFの保有パターン調査の結果、10個のORFの有無の組み合わせで、PCR-ribotyping型及びMLST型と相関のある分子疫学解析が可能であった。また、6個のORFの有無を組み合わせることで、同一PCR-ribotyping型の分離株を細分類することができた。選択されたORFをマルチプレックスPCR反応系の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PCR-ribotypingによって、65株は24のPCR-ribotyping型に分類された。主にST17の株から構成されるPCR-ribotypingのクラスターに分類された分離株数が14株と最も多かった。特定のPCR-ribotyping型、ST型が多数分離される傾向にあった。PCR-ribotyping、MLST共に菌株識別能力は十分ではなかった。ORFの保有パターン調査の結果、10個のORFの有無の組み合わせで、PCR-ribotyping型及びMLST型と相関のある分子疫学解析が可能であった。また、6個のORFの有無を組み合わせることで、同一PCR-ribotyping型の分離株を細分類することができた。前記16個のORFに、トキシンA及びB、並びにバイナリートキシンを検出するプライマーを加え、2系統のマルチプレックスPCR反応によって、迅速に分子疫学解析可能な手法の開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床分離株を用いて、菌株識別能の評価を行う。臨床分離株はPCR-ribotypingによって遺伝子型の決定を行うが、一部の菌株については次世代シークエンスを用いてMLST解析および系統解析を実施する。PCR-ribotyping型と開発した方法の相関を調べ、院内感染の解析に利用した場合の注意点など調査を進める。
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Causes of Carryover |
臨床分離株の解析がやや遅れたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床分離株のゲノム解析株数を増やし、客観的判断のためのデータ作成を行う。PCR反応やゲノム解析に関連した試薬購入を行う。
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