2017 Fiscal Year Research-status Report
エンリッチ環境での痛み―恐怖記憶の消去促進に対する神経新生の関与
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15K08669
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小山 なつ 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50135464)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エンリッチ環境 / 自発運動 / 恐怖記憶 / 恐怖記憶消去学習 / 恐怖記憶の忘却 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. エンリッチ環境による恐怖消去効果 条件付けられた恐怖記憶に対する消去効果は、単独個体での消去学習よりも、複数個体での消去学習の効果が高いことが判明したので、消去学習処理は複数個体個体で行った。また近接記憶(恐怖条件付け学習の翌日)、あるいは遠隔記憶(4週間後)における不動時間を解析後に、3日間連続での消去学習処理を行った後に、消去学習処理の効果を解析した。条件付けられた恐怖記憶の消去効果は、不動時間の減少を指標とした。エンリッチ群で近接記憶の亢進傾向がみられたが、エンリッチ群、コントロール群共に、消去効果が認められた。遠隔記憶、および遠隔記憶後の消去学習効果は、エンリッチ群とコントロール群で差は認められなかった。そこでさらに長期のエンリッチ環境を負荷し、長期遠隔記憶(4ヶ月後)を解析したところ、エンリッチ群において恐怖記憶の忘却の促進が認められた。
2. 消去学習効果と自発運動との関係の解析 エンリッチ群のケージには回転盤付イグルーを入れ、自発運動ができる。恐怖記憶の忘却と自発運動の増加には相関が認められるかを確認するために、連日によるオープンフィールドテストで行動量を解析したが、対応関係は認められなかった。マウスは夜行性動物であるので、回転盤に設置する簡易的カウンターを試作し、ホームケージでの行動量を比較したところ、エンリッチ群では、行動量が有意に更新していることが認められた。 本研究は平成29年に終了予定であったが、意義のありそうな結果が出たため、研究機関を延長し、プロトコールを追加して研究を続ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1. エンリッチ環境による恐怖消去効果 恐怖消去効果は近接記憶、あるいは遠隔記憶、および消去学習に焦点当てて実験を進めてきたが、エンリッチ環境による恐怖記憶の亢進、および消去学習における記憶の低下傾向は認められたが、個体差があり、有意差は認められなかったので、プロトコールに超長期の遠隔記憶に対する消去効果の解析を追加した。
2. 消去学習効果と自発運動との関係の解析 自発運動の解析はオープンフィールドテストで行ったが、マウスは夜行性動物であるために、ホームケージでの行動量の評価が重要だと考えられた。回転盤に設置する簡易的カウンターを試作し、ようやく、ホームケージでの行動量が解析できるようになったところである。
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Strategy for Future Research Activity |
1. エンリッチ環境による恐怖消去効果 長期遠隔記憶(4ヶ月後)、および消去学習の効果の解析を続ける。
2. 消去学習効果と自発運動との関係の解析 長期遠隔記憶、および消去学習の効果の解析後に、ホームケージでの活動量を解析し、消去効果との関係を調べる。 これらの実験から、他動的で短期間の消去学習よりも、長期にわたるエンリッチ環境や自発運動が恐怖情動記憶に対して強い消去効果をもたらすかどうかも明らかにする。
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Causes of Carryover |
想定していたのとは異なる結果が出たので、期間延長を新生した。 1. 条件付けられた恐怖記憶はエンリッチ環境で更新し、頼長維持関係かで恐怖記憶の忘却が促進されるというデータが得られたので、改変ポロとコールでの実験の個体数を増やす計画を立てた。 2. エンリッチ群と運動量の比較する装置を模索していたが、簡易敵に運動量を比較できる装置が見つかったので、運動量を比較する実験を追加した。
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Research Products
(9 results)