2016 Fiscal Year Research-status Report
有機フォトダイオードを用いたIVR用リアルタイム線量分布測定システムの開発
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15K08709
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
錦戸 文彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 計測・線量評価部, 研究員(任常) (60367117)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | IVR / 被ばく線量計 / 有機フォトダイオード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は有機フォトダイオードを用いた新しいシンチレーション検出器によるリアルタイムIVR用の被曝線量計測装置の開発、評価を目的とする。 平成27年度までに、X線を検出するためのプラスチックシンチレータと有機フォトダイオードからなる検出器の開発を行い、十分な性能が得られることを示した。本研究ではこの検出器を多数並べることで被ばく線量位置分布を推定するため、これらの多数の検出器からの信号を処理した後、その値をリアルタイムに出力する必要がある。平成28年度は、検出器後段の信号処理システムの開発を主におこなった。極薄のフレキシブルケーブルでX線撮像装置の信号を引き出した後、まずはじめに電流-電圧アンプを用いて増幅を行う。その後データ収集用DAQ装置(NI USB-6351, 日本NI)を用いてデジタル信号に変換を行う。本年度はこのアンプとDAQ装置の組み合わせを用いてシステムの開発を行い、最終的に16chまでの信号を読み出せるようになっている。データ収集用DAQ装置のコントロールやデータの値の表示はLabView(日本NI)を用いて開発を行い、1秒おきにリアルタイムに測定値が表示を行うためのソフトウェアの開発も行った。今後はこの収集システムに実際に有機フォトダイオードを用いたX線検出器を取り付けることにより、リアルタイムのX線線量測定のテストを行っていく予定である。 また、X線検出器自身の改良も行った。素子のサイズ・作成方法・読み出しケーブルの最適化などを行い性能の改善を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度までに、X線を検出するためのプラスチックシンチレータと有機フォトダイオードからなる検出器の開発と、そのX線に対する透明性と線量計としての性能評価を行い、その有用性を示すことに成功した。 平成28年度までには電流-電圧アンプ、データ収集用DAQ装置(NI USB-6351, 日本NI)、LabViewを用いてたリアルタイムデータ収集・表示システムの開発を行った。 これらはほぼ申請書の研究計画と同じである。 残されている課題は、それらを統合した最終版評価システムの作成とその評価のみとなっており最終年度で十分に達成可能であると考えられる。 そのため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
過去に開発を行ったプラスチックシンチレータと有機フォトダイオードからなるX線検出器と28年度に開発を行ったリアルタイムデータ収集・表示システムを用いて多チャンネル測定リアルタイム同時測定のテストを行い、最終的なIVR用リアルタイム線量計測装置の作成を行う。 制作したリアルタイム線量計測装置を用い、はじめは動物用CT装置等を用いて基礎特性を評価した後、最終的には実際の治療装置下で実験を行い、リアルタイムに線量のモニタが可能であることを実証する。実験は虎ノ門病院のX線撮像装置を用いて行い、頭部を模擬したファントム上に検出器を装着し測定する。また、PRLD素子等の従来の線量計を用いた場合との比較を行い、装置の定量性の評価も行う。 現在まで当初の研究計画通りに進んでおり、研究計画の大きな変更は予定していない。
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Causes of Carryover |
最終試作装置開発のための物品の購入を次年度に持ち越ししたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終試作装置開発のための物品の購入に用いる。29年度前半に装置開発材料の購入を行う。
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