2016 Fiscal Year Research-status Report
Thrombospondin-2は、一般住民において心機能低下の予知因子であるか
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15K08717
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
足達 寿 久留米大学, 医学部, 教授 (40212518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 晋一郎 久留米大学, 医学部, 助教 (00412502) [Withdrawn]
堀 賢介 久留米大学, 医学部, 助教 (50647815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トロンボスポンジン-2 / 一般住民 / 疫学 / 心血管病 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】トロンボスポンジン-2(TSP-2)は、細胞外膜のマトリックスにおいて表出される糖タンパクであり、組織のリモデリングにおいて増加する。最近の研究では、TSP-2は心不全を有する患者に於ける心血管病死の有益な予測因子と言われている。しかし乍ら、一般住民における血清TSP-2レベルの臨床的な意義は、未だに明らかではない。そこで、我々はTSP-2と心機能低下を含めた心血管病関連因子の関係を明らかにすることを目的とした。 【方法】長崎県宇久町において、定期的に行っている疫学研究に於いて、445人にTSP-2を測定し、TSP-2と心血管病関連因子の関係を単および多変量解析を用いて分析した。 【結果】受診者の平均年齢は67.0±9.4歳で、TSP-2に有意な男女差は認めなかった。心血管病関連因子の中では、血糖(p<0.001)、インスリン(p<0.01)、HOMA-IR(p<0.001)、eGFR(p<0.01;負)、高感度CRP(p<0.001)、冠血管疾患の既往(p<0.001)およびNT-proBNP(p<0.001)と関連があった。さらに、ステップワイズ法における重回帰分析の結果、TSP-2は、HOMA-IR(p<0.001)、高感度CRP(p<0.001)、冠血管疾患の既往(p<0.001)およびNT-proBNP(p<0.001)と独立して関連していた。 【結語】これらの結果は、一般住民に於いて、TSP-2と心血管病関連因子の有意な関係を示した初めての研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
住民検診における、多人数のTSP-2と心血管病関連因子の有意な関係を証明することが出来ている。しかし、それが心機能低下の予知因子であるか否かについての考察はできていない。TSP-2は、NT-proBNP(p<0.001)と独立した関連性を有した結果を得たことは大きい。 今後は、心機能低下の予知因子であるか否かの縦断研究を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の横断研究の結果では、TSP-2は様々な心血管病関連因子の有意な関係を有することが分かっており、特に、高感度CRPを代表とした炎症反応との有意な関連、NT-proBNPという心不全の代表的なマーカーとの関連が明らかにされたのは大きな収穫と言える。 しかし、目的はTSP-2が一般住民の予知因子となるか否かの縦断研究であり、最後の1年で、この因果関係を明らかにすることを目指している。
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Causes of Carryover |
旅費、人件費・謝金に、かなりの予算を要したが、以前から保有していた物品を再利用したり、元々、その他の金額の見積もりを多くしていたため、当該助成金に残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品の購入と、その他として計上している採血委託料に使用したい。
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Research Products
(4 results)