2016 Fiscal Year Research-status Report
術後生存率に及ぼす手術時年齢の影響からみた高齢者に対する手術治療の適否
Project/Area Number |
15K08723
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
宮代 勲 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 課長 (80501824)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者 / 手術治療 / 術後生存率 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん診療連携拠点病院院内がん登録全国データを対象とした検討に先立ち,予後追跡率の高い自施設単一施設でのパイロット研究を初年度の平成27年度に引き続いて行った.自施設の院内がん登録データを用い,診断から10年後までの予後が追跡された手術例を対象に,一般集団よりもどのくらい過剰な死亡が生じるか(過剰死亡リスク,Excess Hazard Ratio)をアウトカムとした分析を行った.相対生存率モデルを用いた多変量解析を行い,術後生存率に対する手術時年齢の影響を評価した.また,1歳ごとにカテゴリカルデータを作成して過剰死亡リスク変化を検討した. 平成27年度は,手術侵襲が大きいとされる食道がんと手術侵襲としては比較的大きくないが後遺症が無視できない胃がんでの検討を行い,高齢者手術における過剰死亡リスクの有意な上昇が食道がんにおいてはみられたが,胃がんにおいてはみられなかった.手術侵襲により手術時年齢の影響に違いがあることが示唆され,外科手術においては,術後短期の手術成績のみならず,長期にわたる影響を考慮する必要があると考えられた.しかしながら,肺がん手術例で同様の検討を行ったところ,有意な差は認められなかった. 平成28年度には,膵臓がん手術例,続いて対象期間を長くすることで解析対象者数を増やして肺がん手術例の再検討を行った.肺がん手術例の再検討で,過剰死亡リスクの有意な上昇が認められた.結果について,日本癌学会学術総会や日本疫学会学術総会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自施設単一施設でのパイロット研究に関しては,研究実施計画に沿って,対象の拡大を進めている.一方,がん診療連携拠点病院院内がん登録全国データ利用申請には承認までの時間を要すると予想されることから,平成27年度内に申請が行えるよう準備を進める計画であったが,申請を先送りしている. がん診療連携拠点病院院内がん登録の5年予後付き情報は,平成27年度末時点で,2007年と2008年の収集が済んでいる.平成27年9月に2007年生存率集計報告書が発行されたが,予後付き情報の収集としては2007年診断例が初めてであり,生存状況把握割合などの問題もあり,都道府県別で5部位についてのみの公表となっている.本研究においては,生存状況把握割合の高いことが求められる.がん診療連携拠点病院院内がん登録全国データに関しては,より新しいものの方がデータの信頼性が高いとされており,より新しい5年予後付きデータを使用する観点から,データ利用申請を保留している.
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Strategy for Future Research Activity |
自施設単一施設でのパイロット研究に関しては,対象の拡大を進める一方,学会で研究成果として発表する. がん診療連携拠点病院院内がん登録全国データに関しては,がん診療連携拠点病院院内がん登録全国データ利用規約に基づく利用申請を行うのであるが,進捗状況遅延の理由に記載した通り,がん診療連携拠点病院院内がん登録の5年予後付き情報には生存状況把握割合などの問題が明らかになっている.本研究では,一定の予後追跡率が担保されないと適切な解析結果を得られないと懸念され,利用申請を保留し,より新しい5年予後付きデータを使用したいと考えている.研究期間の延長是非についても検討している.
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Causes of Carryover |
全国データを扱う際の大規模データ分析作業用のコンピュータ等,初年度にほとんどの物品を準備する計画としていたが,大規模データを扱う作業時期の先送りにあわせ,購入を保留していること,初年度購入計画にあった統計解析等の高額なソフトウエアにアカデミック価格を適用することができたためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度にほとんどの物品を準備する当初の計画を変更し,作業にあわせて順次準備する予定である.旅費等については,当初の計画から大きな変更はない見込みである
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