2015 Fiscal Year Research-status Report
食物アレルギーの観点から自閉傾向の新指標と予防法を開発する
Project/Area Number |
15K08729
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻口 博聖 金沢大学, 医学系, 特任助教 (00723090)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 自閉症スペクトラム / 栄養 / 疫学 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム(Autistic Spectrum Disorder, ASD)は、自閉症、特定不能の広汎性発達障害などの各疾患を広汎性発達生涯の連続体の一要素として捉えたもののことであるが、確立した分類や診断基準はない。ASDを生じうる乳幼児は多く存在し、その一部は顕在化せず次第に適応の範囲に入っていくが一部は顕在化してASDという形での発現をするとの考え方に基づくと、ASDが昨今急増しているのは、従来は適応の範囲に入り問題とならなかったケースが、現在の複雑な生活環境の問題などによって多くが顕在化するようになっている可能性がある。しかしながら、自閉傾向についての危険因子を特定する疫学研究は端緒についたばかりであり、いまだ十分に解明されていない。自閉傾向の危険因子を自閉症スクリーニング質問紙に組み入れれば、自閉傾向をより早期にかつ確実に発見することが可能になるものと考えられる。 平成27年度は、石川県内の小学校・中学校に通う6-15歳の約1476人の児童生徒を対象(回答者1414人、回答率95.8%)とした自閉傾向・アレルギー・栄養摂取状態・食生活習慣に関するコホート調査データを元に横断的な解析を実施した。自閉傾向の把握には自閉症スペクトラム・スクリーニング質問紙(ASSQ: autism spectrum screening questionnaire)を、栄養摂取状態の把握には簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ: brief-type self-administered diet history questionnaire)を用いた。 その結果、小学校低学年児において、栄養不足が自閉症傾向の有無と関連する可能性が示唆されたが、小学校高学年以上においては関連を認めなかった。栄養不足と自閉症傾向との関連は年齢とともに解消していく可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小学生・中学生における自閉傾向と栄養摂取状態との関連について、仮説とも合致する一定の知見を得ることができた。自閉症スペクトラム障害と栄養の関連について定量的に調査した研究は希少である。もっとも、アレルギーとの関連については目下解析・論文執筆中である。また、平成27年度に予定していた、1-3歳児の新規コホート立ち上げは平成28年度に持ち越しとなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、新規コホートの立ち上げについて自治体との交渉を進めており、推進の方向で準備を進めている。また、小中学校の児童生徒を対象にした追跡調査も平成28年度に実施予定である。既存データの解析についても引き続き進めていき、更に新規データと併せて縦断的な解析を実施するい。それらの成果を学会・論文をもって発表する。
|
Causes of Carryover |
今年度実施予定であった新規コホート調査が次年度に持ち越しとなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度新規コホート調査を確実に実施することで、その調査費用に充てる予定である。
|
Research Products
(1 results)