2016 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮障害・細胞障害に関連する脂肪肝定量化リスク値の検討
Project/Area Number |
15K08744
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森川 浩安 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60457992)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / CAP / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
未病段階の検診者を対象に脂肪肝の血管内皮障害・細胞障害への関与を検討し、心血管イベント・肝障害リスクファクターとしての脂肪肝の背景像・指標を明らかにすることを目的として本研究を行っている。 新規超音波技術であるFibroScan(FS)装置のControlled Attenuation Parameter(CAP)を用いて、未病段階の検診者を対象にCAP値と生活習慣病関連項目との相関を検討した。CAP施行例1700例を対象とし、生活習慣病既往歴やアルコール多飲者を除外した900例について解析を行った。CAP値と単変量解析にて有意な相関を認めた項目は、BMI(body mass index)、腹囲、最高・最低血圧、ALT、尿酸、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、HbA1c、空腹時血糖、アディポネクチン、インスリンであった。多変量解析では、BMI、腹囲、ALT、中性脂肪であった。今回測定を行った酸化ストレス度評価(d-ROMsテスト)や血管内皮機能(FMD)等については、直接的な相関は認めなかった。NASH/NAFLD病理steatosis gradeに準じたcut-off値で分類すると、steatosis grade進行に応じて、頚動脈内膜中膜複合体厚(IMT)が肥厚することが確認された。また、上記分類での進行に従って、糖尿病発症リスクスコア上昇、血清脂質構成パターン変動が起こることを確認した。 CAP値が生活習慣病関連項目に深く関連すること、また、動脈硬化にも関わることが示唆された。上記、研究成果の途中経過を第57回日本人間ドック学会学術大会、2016年米国肝臓学会(AASLD Liver meeting 2016)において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標総数として掲げた500例以上の集積を行っている。平成27年12月研究開始にもかかわらず、当初予定していた症例数での解析は行われており、計画としては順調に推移している。今年度の解析では、脂肪肝と血管内皮障害や酸化ストレスとの直接的、かつ強力な因果関係は見出せず、解析症例数を更に増加させ、男女別、年齢別、既往疾患別等でのサブ解析に耐えうる症例数確保に努めたい。また、新たな知見確認後miRNA解析を行う予定のため、このパートの進行が遅れている。 当分野での最新の知見が集まる学会において、発表を行い、本研究の評価・批評をうけながら、研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
解析目標症例数を1500例とする。脂肪肝の血管内皮障害・細胞障害への関与を解析して得られた知見から、層別化を行い、miRNA解析を行う。次年度は論文報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
dROMsテストで良好な結果が認められなかったため、miRNA探索を今年度施行しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
目標症例総数を引き上げた。基本解析に用いる物品費と次年度最終年度にて論文報告、学会発表等に使用予定である。
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