2015 Fiscal Year Research-status Report
難病(ベーチェット病、天疱瘡)の臨床疫学像の将来予測
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15K08750
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
黒沢 美智子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70245702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
縣 俊彦 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (50147576)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 難病 / 将来推計 / ベーチェット病 / 天疱瘡 |
Outline of Annual Research Achievements |
総務省統計局平成25(2013)年10月1日推計人口、国立社会保障・人口問題研究所日本の将来推計人口(中位)、平成25年度衛生行政報告例特定疾患ベーチェット病及び天疱瘡の医療受給者証所持者数,性・年齢階級を用いて、2020~60年の両疾患受給者の性別年齢分布、及び患者数を推計した。2013年度ベーチェット病受給者実数は19,147人であったが、2020年には19,234人、2030年18,487人、2050年15,590年、2060年14,018人と推計された。70歳以上のベーチェット病患者の割合は現在21%であるが、2020年に26%、2030年28%、2060年37%になることが推計された。 稀少難治性皮膚疾患天疱瘡の受給者数も過去30年間で徐々に増加し、2013年度の受給者数は5,596人となっている。2020年は5,835人、2030年は5,869人と増加し、2040年に5,627人と減少傾向を示し、2050年は5,230人、2060年には4,775人に減少すると推計された。天疱瘡受給者の70歳以上の割合は2004年には29%であったが、2013年には37%となり、患者全体の高齢化が認められる。2020年に70歳以上の割合は43%、2040年には47%、2060年は54%になると推計された。天疱瘡患者は今後約20年間患者数が増加した後、減少に転じ約40年後に現在より減少すると考えられる。 両疾患とも日本の人口の高齢化に伴い、将来高齢化していくことが予測され、年齢構成の変化に伴い患者全体の臨床疫学像も変化していくと考えられる。今後、臨床調査個人票データを用いて、病型や症状などの臨床像が将来どのように変化するか予測する。今年度は上記以外の18難病についての将来推計も行った。各疾患についてベイズ型APC分析の可能性、開発が期待される治療法についての調査を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画は以下のとおりである。 1) 総務省統計局平成25年10月1日推計人口、国立社会保障・人口問題研究所日本の将来推計人口(中位)、平成25年度衛生行政報告例特定疾患天ベーチェット病及び天疱瘡の医療受給者証所持者数,性・年齢階級を用いて、2020~60年の両疾患受給者の性別年齢分布、及び患者数を直接法による年齢調整を行い推計する。2) 特定疾患医療費自己負担額軽減の申請時に提出される臨床調査個人票のデータベース情報(出生年または年齢)を精査し、ベイズ型APC(Age-Period- Cohort)分析に用いることが可能か検討する。3) 各疾患について、開発中または開発が期待される治療法を調査する。 1)についてはベーチェット病と希少難治性皮膚疾患天疱瘡の分析を終了し、この2疾患以外の難病18疾患についても将来の患者数推計を行い、学会発表を行った。推計した18疾患は潰瘍性大腸炎、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病)、全身性エリテマトーデス、強皮症・皮膚筋炎及び多発性筋炎、クローン病、後縦靭帯骨化症、網膜色素変性症、特発性拡張型(うっ血型)心筋症、脊髄小脳変性症、特発性血小板減少性紫斑病、サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、間脳下垂体機能障害(PRL分泌異常症、ゴナドトロピン分泌異常症、ADH分泌異常症、下垂体性TSH分泌異常症、クッシング病、先端巨大症、下垂体機能低下症)、多発性硬化症、モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)、特発性大腿骨頭壊死症、膿疱性乾癬、である。 2)と3)については現在継続中であるが、平成28年度に厚労省への利用申請を予定していた臨床調査個人票データベース(ベーチェット病、天疱瘡)はH27年度に入手した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に入手した臨床調査個人票データベース(ベーチェット病、天疱瘡)の疾患別に各々の症状について、将来増加する症状、減少する症状を推計し、全体の臨床像の変化について検討する。臨床疫学像の推計結果を基に、現在開発が期待されている治療法などが実用化された場合にどのような臨床疫学像となるか、患者数の推計と共にシミュレーションを行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度に計上していたデータ整理のための人件費は、研究代表者が自分でデータ整理を行ったので使用しなかった。また、使用する統計ソフトは平成28年度に購入する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度はデータ整理のための人件費を支出する。また分析用統計ソフトを購入する予定である。
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[Journal Article] 膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン2014年度版2015
Author(s)
照井正, 秋山真志, 池田志斈, 小澤明, 金蔵拓郎, 黒澤美智子, 小宮根真弓, 佐野栄紀, 根本治, 武藤正彦, 山西清文, 岩月啓氏
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Journal Title
日本皮膚科学会雑誌
Volume: 125
Pages: 2211-2257
Peer Reviewed / Open Access
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