2015 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病等の免疫低下時における帯状疱疹予防のための水痘ウイルス特異的免疫反応の検討
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15K08759
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
羽田 敦子 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第4研究部, 研究主幹 (70321685)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水痘帯状疱疹ウイルス / 帯状疱疹 / 糖尿病 / 細胞性免疫 / 水痘帯状疱疹ワクチン / IFNγアッセイ / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
50歳以上の糖尿病患者を対象に水痘帯状疱疹ワクチンとプラセボによる二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験を行う。効果指標として、主要評価項目は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)抗原刺激による全血IFN-γアッセイ値とし、VZVに対する特異的細胞性免疫を評価する。副次評価項目は ①VZV抗体価(ELISA)②安全性とする。エントリー期間は2015年(平成27年)6月から2017年(平成29年)3月までの21ヶ月とし、安全性の観察期間は2017年(平成29年)11月までとする。過去の研究成果を踏まえて、以下の3群に割り付け、2回接種を行う予定である。 A: プラセボ(生理食塩水) + プラセボ(生理食塩水) B: 水痘生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」) + プラセボ(生理食塩水) C: 水痘生ワクチン + 水痘生ワクチン 現在患者のリクルートを行っており、二重盲検で試験薬を接種している最中である。水痘帯状疱疹ワクチン接種前後の血液を採取し、IFN-γアッセイを行った検体と抗体価測定用の血清を凍結保存している。まだ、IFN-γと抗体価測定は行っていないため、群間比較はできていない。 全血IFN-γアッセイについて糖尿病患者での評価に適切な検査であるか評価するために、23歳から80歳までの健常成人男性10名女性10名計20名の水痘帯状疱疹ワクチン接種前後の変化を評価した。平均IFN値±標準誤差は、ワクチン接種前78.8±16.8、接種後84.1±17.9、とt検定で、前後値の有意差はなかった。接種前後比1.76±0.48と平均1.8倍の上昇がみられた。t検定のサンプルサイズからは74例必要だが、現状の20症例では検出力(power)=0.3(帰無仮説を棄却する確率、0.8以上が必要)となるので、今後症例数を増やす必要がある。症例数は74症例を目標として糖尿病患者が、この値と同等効果であるか否かを調べる方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在エントリーした被験者は29名であり、予定の80名に遠く及ばない。理由として平成22-25年度に同一施設で同じ糖尿病患者に対する水痘ワクチンの臨床研究を行い、ご協力いただいた52名のうち半数の25名には既に水痘ワクチンを接種しているため、重複して今回の臨床研究に参加していただくことは難しいと考え、リクルート活動に制限がかかっている。さらに、IFN-γ検査の培養時間の都合上、参加していただける曜日が限られている。以上の理由から、本研究の被験者を集めるのに難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者を募り、予定通り、二重盲検比較試験を遂行していく。場合によっては、前回の臨床研究の参加者で水痘ワクチンを接種されていない糖尿病患者に本研究についてもう一度募集したり、被験者の除外条件を見直さざるを得ないかもしれない。当初の研究計画ではサンプルサイズは80名程度であったが、健常成人のIFN-γの結果をもとに、サンプルサイズの算定をしたところ、74名と判明した。予定期間までにこの数字を目標としてリクルートを行っていくが、被験者数が思いのほか、増加しない場合には、目標数まで満たないで試験を終了することも想定している。
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Causes of Carryover |
水痘ウイルス抗体価やIFN-γアッセイを行って事前に予備検査を行う予定をしていたが、繰り返し検査をせずとも、確実に測定できることが判明したため、試薬を節約することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
凍結保存している検体の測定の際に水痘ウイルス抗体価やIFN-γアッセイに試薬を必要とするため、その購入に使用していく。また、現在リクルート活動に難渋しており、予定より研究員への謝金を増額する予定である。
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