2016 Fiscal Year Research-status Report
国民健康・栄養調査における非協力者バイアス修正のための統計手法の開発と応用
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15K08762
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
池田 奈由 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター, 研究員 (20573603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 信雄 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター, センター長 (80243228)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国民健康・栄養調査 / 国民生活基礎調査 / 非協力者バイアス / 統計手法 / 保健統計 / 非感染性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
国民健康・栄養調査(以下、栄養調査)において国民の特徴を適切に反映した推定値が得られていない可能性があることから、海外研究機関と協力してバイアスを調整したNCD因子分布推定を進めるとともに、非協力世帯の特徴を検討した。 平成22、25年栄養調査の個人データを、親標本である同年の国民生活基礎調査(以下、基礎調査)・世帯票と連結した。栄養調査の抽出単位区における基礎調査協力世帯を、栄養調査での協力状況により世帯員の全員または一部が協力した世帯(協力世帯)と、世帯員全員が協力しなかった世帯(非協力世帯)に分類した。それを被説明変数とする多重ロジスティック回帰分析を行い、世帯の特徴を示す説明変数のオッズ比を求めた。 その結果、非協力のオッズ比が有意に1より大きかったのは、大都市や人口15万人以上の都市(基準値:郡部、以下の括弧内同様)、民間賃貸住宅(持ち家)、共同住宅(一戸建て)、部屋数が3室以下(7室以上)、世帯分類が単独、夫婦のみ、夫婦と未婚の子のみ、ひとり親と未婚の子のみ(三世代世帯)、65歳以上のみの世帯に非該当(該当)、世帯主の年齢が60歳未満(60歳代)、世帯主の最終学歴が中学校以下(大学・大学院卒)であった。 このように、近年の栄養調査において、世帯構成や居住地、世帯主の属性などによる世帯協力状況の差が認められた。ただし、本分析の限界として、基礎調査の親標本である国勢調査のデータとの連結が不可能であり、協力率が約80%である基礎調査の時点で協力しなかった世帯が分析に含まれておらず、真の世帯分布を反映できていない可能性があることに留意する必要がある。今後の研究では、主要な健康データにおける非協力者バイアスの有無について検討し、その結果によって特定集団の抽出数の拡大や、協力率を考慮した乗数等による非協力者バイアス調整のための統計手法の開発について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非協力者に関する基礎分析を完了し、その研究成果を学会で発表した(優秀演題賞受賞)。海外の研究機関と協力し、バイアスを調整したNCD因子分布推定に関する論文5本をインパクトの高い国際英文学術雑誌に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
健康指標における非協力者バイアスの有無に関する統計分析を完了し、その結果に応じてバイアスを調整するための統計手法を検討する。国民の平均値と分布を推定し、標本を異にするその他の大規模保健統計調査から得られる値と比較することにより、統計方法の妥当性を検討する。さらに、各指標の年次推移を示して従来のデータと比較しながら、国民の健康と健康政策の効果について議論する。最後に、研究を総括し、研究成果に関する報告書の作成、学会発表、学術雑誌への論文投稿、公開行事への参加、マスメディアへの発表などを通じて、国民健康・栄養調査のデータから得られる国民の健康に関する正しい情報を発信し、今後の我が国における健康政策とその評価手法のあり方についての提言を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Laboratory-based and office-based risk scores and charts to predict 10-year risk of cardiovascular disease in 182 countries: a pooled analysis of prospective cohorts and health surveys2017
Author(s)
Ueda P, Woodward M, Lu Y, Hajifathalian K, Al-Wotayan R, Aguilar-Salinas CA, Ahmadvand A, Azizi F, Bentham J, Cifkova R, Di Cesare M, Eriksen L, Farzadfar F, Ferguson TS, Ikeda N, … Shaw JE, Stevens GA, Tolstrup JS, Zhou B, Salomon JA, Ezzati M, Danaei G
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Journal Title
Lancet Diabetes & Endocrinology
Volume: 5
Pages: 196-213
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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