2017 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸摂取によるサルコペニア予防-内分泌環境、遺伝素因の個人差に基づく縦断研究
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15K08763
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
加藤 友紀 (外山友紀) 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (20329650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, NILS-LSA活用研究室, 室長 (00532243)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分岐鎖アミノ酸摂取量 / 骨格筋量 / 血中テストステロン量 / アンドロゲン受容体遺伝子 / 長期縦断疫学研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では地域在住中高年男女の長期縦断疫学調査のデータを用いて、アミノ酸摂取が骨格筋量に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。 1.今年度の研究成果の具体的内容 平成29年度は「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」のデータを用いて、男性ホルモン関連要因(総テストステロン、遊離テストステロンなど)の多寡とアンドロゲン受容体(AR)遺伝子多型の組合せで異なるサルコペニアの遺伝的リスクによる骨格筋量の経年変化に分岐鎖アミノ酸(BCAA)摂取がどのような影響を及ぼすか検討した。NILS-LSAの第1次調査から第7次調査の15年の経時測定データを用いて、骨格筋指数(SMI, 四肢筋量kg÷身長m2)を従属変数とし、従属変数の経年変化に第1次調査の血中テストステロン量、AR遺伝子多型、第1次調査時年齢、第1次調査からの追跡年数、血中テストステロン量と追跡年数の交互作用がどのような影響を及ぼすか線形混合モデルを用いて性別に検討した。男性では、総テストステロンまたは遊離テストステロンの血中量が多いほど切片のSMIの値が有意に高かった。血中遊離テストステロン量では、平均値より1標準偏差高値であると経年ごとの骨格筋量の減少が抑えられていた。しかし、AR遺伝子多型の主効果は有意ではなかった。女性では血中テストステロン量とSMIに有意な関連はみられなかった。上記のモデルに第1次調査のBCAA摂取量を投入したところ、血中テストステロン量に関わらずBCAA摂取量が多いほど切片のSMIの値が有意に高かった。 2.研究成果の意義と重要性 本年度の研究で地域在住中高年者の長期縦断疫学調査より、BCAA摂取量とSMIの経年変化との間に有意な関連をみいだした。さらなる詳細な解析が必要ではあるが、これはサルコペニア予防の知見として重要であり、意義があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の研究実施計画では、平成29年度末までに研究成果の公表を含め完了する予定であったが、多角的な縦断的解析が十分に行えず、また成果発表のための学会参加ができていない。事業期間の延長を申し出ており、平成30年度に平成29年度の成果発表を予定している。さらに、アミノ酸の種類や量、相対的比率によるサルコペニアの予防または緩衝効果について検討するとともに、他のサルコペニアの遺伝的リスクを視野に入れた解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は血漿アミノ酸量の測定を行い、血漿アミノ酸量と骨格筋量との関連を横断的に検討した。 平成28年度は血漿アミノ酸量と筋量、筋力、身体機能の経時変化を確認し、それらの変化と血漿アミノ酸量との関連を把握した。 平成29年度には、血中総テストステロンや血中遊離テストステロン量の多寡とAR遺伝子多型の組合せで異なるサルコペニアの遺伝的リスクによる骨格筋量の経年変化にBCAA摂取が及ぼす影響について検討した。平成30年度は平成29年度の成果発表を行うとともに、他のアミノ酸の摂取量、相対的比率によるサルコペニアの予防または緩衝効果について検討するとともに、他のサルコペニアの遺伝的リスクを視野に入れた解析を行う。 その結果、内分泌環境や遺伝要因によるサルコペニアの個人差(リスク)ごとに日常的に摂取可能なサルコペニア予防のために必要なアミノ酸量を明らかにする。
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Causes of Carryover |
計画当初、研究成果報告や解析手法の習得のため学会参加や研修会への参加を見込んでいたが、勤務先の変更に伴い、学会や研修会の参加を見合わせたことより繰越金が発生した。また、多角的な縦断的解析が十分に行えなかったことより、研究目的を達成するため事業期間の延長を申請し、さらなる解析をすすめて、繰越金を用いて研究成果報告を行う予定である。
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