2016 Fiscal Year Research-status Report
ステルス型カルバペネム耐性菌の分子疫学的解析及び効果的検出法の確立
Project/Area Number |
15K08774
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大澤 佳代 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (50324942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重村 克巳 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (00457102)
荒川 創一 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (70159490)
白川 利朗 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (70335446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カルバペネム耐性 / ESBL産生 / 腸内細菌科細菌 / 緑膿菌 / MLST / plasmid replicon typing / rep-PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
兵庫県および三重県で分離されたカルバペネム耐性Escherichia coli 23株について、カルバペネマーゼとESBL遺伝子の解析を行った。その結果、対象株は全てIMP-6型産生株であり、同時にCTX-M-2型やCTX-M-15型産生を示す株が認められた。それらは全て世界で流行している表現型B2であり、Multilocus sequence typing (MLST)解析によりSequence type (ST)131であったことが示された。これらは、疫学手法であるrep-PCRにて3系統に分かれた。このプラスミドに対してplasmid replicon typingにより、IMP-6型産生株はIncNプラスミド骨格を持つことが示された。今回検出されたプラスミドはrep-PCRにて3系統に分かれた菌株において同一のIncNプラスミド骨格を持っており、このプラスミド上にblaIMP-6とblaCTX-M-2が存在することが確認できた。 インドネシアの小児下痢症患者から分離されたE. coli 124株を対象とした研究では、さらに、遺伝子解析の結果、CTX-M-15型ESBL産生E. coli A-ST617を中心とした株が検出され、rep-PCRにより近縁あるいは異なる菌株でのESBL遺伝子の伝播が確認された。さらに、ESBL産生株のうちDEC 2株が検出され、それぞれCTX-M-14型及びTEM-1型ESBL産生E. coli D-ST2142、TEM-1型ESBL産生E. coli B1-ST29として確認された。なお、この研究については論文が公開されている。さらに、インドネシアの尿路感染症患者から分離された約700株のグラム陰性菌について、詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は研究計画においてグラム陰性菌の分離株をもとにして、概要にも記述したとおり順調に分離株の調査を行っている。腸内細菌科細菌については、非常に詳細なプラスミド解析を行っており、論文投稿中あるいは予定となっている。さらに今年度はインドネシアの株を約700株収集し、その詳細な解析を予定している。学会発表として、CREについては第64回日本化学療法学会総会(2016年6月 神戸)、インドネシアのESBL産生株については第32回世界医学検査学会(2016年9月 神戸)にて、概要に記述した内容について発表を行っており、インドネシアの研究内容は論文が公開されている(Wasito EB, Shigemura K, Osawa K, et al. Jpn J Infect Dis. 2016 Dec 22. doi: 10.7883/yoken.JJID.2016.234.)ため、概ね順調に計画を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、腸内細菌科細菌では、収集株についての薬剤感受性試験、PCRやシークエンスでの型別の他、平成29年度の予定では、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌やカルバペネム耐性緑膿菌については更なるプラスミド解析、病原遺伝子の解析、さらにはカルバペネム耐性以外のキノロンやアミノグリコシド耐性遺伝子の検出を行う。インドネシアの追加株については、カルバペネム耐性遺伝子の解析の他、他の薬剤に対する耐性遺伝子、プラスミド解析やMultilocus sequence typingを行う予定である。その他、CRE検出の簡易方法について検討し、効果的な診断法の確立を目指すつもりである。
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[Journal Article] Antibiotic susceptibilities and genetic characterization of extended spectrum beta-lactamase producing Escherichia coli isolated from stools of pediatric diarrhea patients in Surabaya, Indonesia.2016
Author(s)
Wasito EB, Shigemura K, Osawa K, Fardah A, Kanaida A, Raharjo D, Kuntaman K, Hadi U, Harijono S, Sudarmo SM, Nakamura T, Shibayama K, Fujisawa M, Shirakawa T.
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Journal Title
Jpn J Infect Dis.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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