2015 Fiscal Year Research-status Report
芽胞形成・毒素産生環境の制御に焦点をあてたウェルシュ菌食中毒予防に関する基礎研究
Project/Area Number |
15K08783
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安木 真世 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (40589008)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | clostridium perfringens / 食中毒 / 芽胞形成 / 胆汁酸 / レドックス / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
胆汁酸はウェルシュ菌のSpo0Aの活性化を促進することを既に明らかにしたが、詳細を調べるためPhosTagを用いリン酸化Spo0Aの検出を行った。その結果、胆汁酸はSpo0Aのリン酸化を促進することが明らかとなった。本結果ならびにマイクロアレイの結果よりhistidine kinases, revR, phosphotransbutyrylase, hypothetical proteinを胆汁酸が関与し得る菌体遺伝子の候補とした。そこでhypothetical proteinの遺伝子欠損株を作製し芽胞形成への関与を調べたが、関与を示唆する結果は得られなかった。現在phosphotransbutyrylaseの遺伝子欠損株を作製中である。 ランダム遺伝子変異法に関してはEZ-Tn5を用いて形質転換を行ったが形質転換効率が非常に低く、変異ライブラリーを作製するほどのコロニー数の確保は難しいと判断した。そこでDembekらが2015年にC.difficileを用いて報告したmariner-based transposon systemに着目し、プラスミドの分与を受けた。 レドックスに関して、アスコルビン酸に加え他の還元剤(L-cysteine, glutathione, Na2S, thioglycollate)の芽胞形成への影響を調べたが、いずれも芽胞形成を促進または抑制しなかった。またH2O2に加え酸化剤である硝酸カルシウムの芽胞形成抑制効果が確認された。しかし一方で同じく酸化剤である硝酸カリウムや硝酸ナトリウムは芽胞形成へ影響を示さなかった。培地ORPの芽胞形成への影響を調べたが、培養開始時のORPと芽胞形成の相関性は確認されなかった。以上の結果よりレドックスの芽胞形成への影響は試薬特異性がある、または単純な試験管培養での評価は難しいことが示唆された。 以上の成果は国内外の学術集会で発表されると共に学術誌Applied and Environmental Microbiologyへの掲載が確定した。現在新たな論文を準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胆汁酸関連の研究は概ね順調である。ランダム遺伝子変異法に使用予定であったtransposonがウェルシュ菌ではうまく動作しなかったが、代替法としてmariner-based transposon systemを既に準備済であり、研究進捗に大きな影響はでないと考えられる。 一方レドックス関連の研究は研究実績欄に述べた通り、試薬特異性が高く共通性が見いだせなかった。そのため当初予定していたマイクロアレイを行わなかった。 以上の点を鑑みて区分を「やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
胆汁酸関連は当初の予定通り、候補遺伝子の欠損株作製~評価を順次行う。またランダム遺伝子変異法の確立、ライブラリーの樹立ならびに実用も順次進める。 レドックス関連は方向性を改め、まずランダム遺伝子変異ライブラリーを樹立し、そのライブラリーを用いて個々の酸化剤・還元剤の芽胞形成への影響ならびにそれらと相互作用する菌体遺伝子群を次世代シーケンサーにて同定する。
|
Causes of Carryover |
レドックス関連の研究でマイクロアレイを行わなかったため、マイクロアレイのために計上した予算が残った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の推進方策で述べた通り、レドックス関連の研究ではマイクロアレイではなく、ランダム遺伝子変異ライブラリーを樹立後次世代シーケンサ-を用いて解析予定である。上記残高はその費用として計上する。
|
Research Products
(9 results)