2016 Fiscal Year Research-status Report
芽胞形成・毒素産生環境の制御に焦点をあてたウェルシュ菌食中毒予防に関する基礎研究
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15K08783
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安木 真世 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40589008)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Clostridium perfringens / 食中毒 / 芽胞形成 / 胆汁酸 / 硝酸還元 / トランスポゾン / ランダムミュータジェネシス |
Outline of Annual Research Achievements |
胆汁酸による芽胞形成の促進に関与する菌体因子の研究において、マイクロアレイの結果を受けて候補遺伝子としたphosphotransbutyrylase遺伝子の欠損株と補完株を作製した。欠損株では芽胞形成が抑制された。しかし補完株において表現型が回復しなかった。今後欠損株の染色体に野生型の遺伝子を挿入することで再度補完株を作製し評価を行う予定である。同じくマイクロアレイの結果選択されたrevSR遺伝子に関しては、共同研究先であるオーストラリアモナシュ大学にて変異株を作製中である。またモナシュ大学を訪問し研究進捗に関して議論を行い、現在変異株の表現型について評価中であることを確認した。 ランダムミュータジェネシスに関しては、分与されたmariner-based transposon用プラスミドを用い、変異体のライブラリーを作製した。分与プラスミドではトランスポゾン挿入後に菌体内にプラスミドが残存したが、キシロース誘導性致死遺伝子mazFを挿入した改変プラスミド(研究代表者オリジナル)を用いることで問題が解決した。作製したライブラリーを基にTraDIS法(Langridge et al, Genome Res, 2009, 19)を用いて胆汁酸による芽胞形成に必須の遺伝子を選定するために、サンプルを作製した。現在次世代シーケンス中である。 レドックスに関して、酸化剤である硝酸塩が芽胞形成を抑制すること、さらにSpo0A-regulated genesの発現を抑制することを明らかにした。さらに硝酸還元の中間産物である亜硝酸塩と一酸化窒素も芽胞形成を制御することを示した。 以上の成果は国内外の学術集会で発表されると共に、学術誌Applied and Environmental MicrobiologyとMicrobiology and Immunologyへ掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胆汁酸に関する研究では、マイクロアレイによる候補遺伝子の変異株作製は順調に進んでいる。補完株作製にあたり、プラスミドによる遺伝子発現では表現型が復帰しないという問題点が挙がったが、既に代替法として染色体上へのsingle copy complementationを行う方向で研究を進めている。必要なプラスミド等は既に準備済であるため、研究進捗に大きな影響はでないと考えている。またランダムミュータジェネシスでは、プラスミドがうまく働いたことから研究が大きく進捗した。既に次世代シーケンスを行っており候補遺伝子の選択はスムーズに行われることが見込まれる。 レドックスに関する研究においては、昨年度酸化還元と芽胞形成の関係性を明らかにすることができず、ランダムミュータジェネシスへの以降が必要であると考察した。しかし今年度、硝酸還元が芽胞形成に関与することを示唆するデータを得た。さらにメカニズムの一端を明らかにすることに成功した。今後硝酸還元に注目し、ランダムミュータジェネシスまたはマイクロアレイを用いることで更なるメカニズム解析が可能であると考えられる。 以上の点から「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
胆汁酸に関する研究では、当初の予定通りマイクロアレイにより選択された候補遺伝子に加え、次世代シーケンスの結果から芽胞形成に関与する候補遺伝子を選定し、欠損株・補完株を作製し評価を行う。またレドックスに関する研究では硝酸還元に焦点を絞り、ランダムミュータジェネシスまたはマイクロアレイを行うことでより詳細なメカニズム解析を目指す。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンス実施解析がH28~H29年度にまたがったことに伴い、それにかかる費用の支払いがH29年度になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記次世代シーケンス実施解析費用として計上する。
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Research Products
(16 results)