2016 Fiscal Year Research-status Report
ニトロ化DNA損傷の低侵襲性定量解析法の開発と炎症関連発がんリスク評価への応用
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15K08787
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 志保 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (80511914)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん予防 / 炎症 / DNA損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性感染や炎症は極めて重要な発がん要因である。タイ国ではタイ肝吸虫による胆管癌が大きな社会的問題となっており、エジプトではビルハルツ住血吸虫、日本では、Helicobacter pylori感染による胃癌やC型肝炎による肝臓がんなどが大きな課題である。これらの炎症関連発がんが全体の癌に占める割合は、約25%以上と推算されており、炎症関連発がんリスクの早期評価と予防法確立が急務である。我々は、炎症に特異的に生成するニトロ化DNA損傷塩基の8-ニトログアニンが、がん好発部位で発がんに先駆けて生成し、新規バイオマーカーとして有望であることを明らかにしてきたが、フィールド調査や予防介入研究に実用可能な定量解析法がない。本研究では、8-ニトログアニンを簡便に高感度で定量解析する方法を開発し、ヒトにおける炎症関連発がんリスク評価への応用をめざす。 平成28年度は、8-ニトログアニンのマウスモノクローナル抗体(市販)とウサギポリクローナル抗体(自作)を用いてサンドイッチELISAプレートを構築し、ELISA構築条件の最適化を試みた。しかし、検出感度が当初想定より低く、予定どおりに解析は進まなかった。 炎症関連がん患者およびハイリスク患者の生体試料収集を行った。具体的には、インフォームドコンセントを得て、タイ肝吸虫感染患者・胆管癌患者、潰瘍性大腸炎患者・大腸癌患者、および各前がん病変患者から、生検組織・手術検体を採取した。得られた生検組織はホルマリン固定・パラフィン包埋した後、免疫組織染色を行い、8-ニトログアニンの生成を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生体試料のELISA解析結果を検証する計画であったが、ELISAの感度が不十分なため、検証が遅れている。従来の免疫組織化学的手法による解析は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回作成した抗体の感度が低いため、再度抗体作成を試みる。市販の抗体を用いてELISA構築を試みる。また検出の際にアビジン-ビオチンシステムを導入して、感度増幅を試みる。構築したELSIAで生体試料を解析し、病期やがん進行度と8-ニトログアニン量の相関を検証する。ELISAの解析結果と、従来の免疫組織化学的手法で解析した結果とを比較検証する。定量性と簡便性のバランスを最適化し、予防介入研究に応用できるか総合的に評価する。8-ニトログアニンが炎症関連発がんリスクのマーカーとして有効であることを証明する。
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Causes of Carryover |
次年度に実験を行うための試薬など消耗品を購入予定であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の最終年度のため、早めの使用をする予定である。
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Research Products
(9 results)