2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K08789
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大藪 貴子 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (20320369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明星 敏彦 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00209959)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属ナノワイヤーの生体影響 / 気管内注入試験 / 肺内滞留性 / 病理組織評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
工業用材料として、機能性の高いナノ粒子が様々な分野で開発されているが、最近では、ナノワイヤーと呼ばれる金属または金属酸化物の工業用ナノ材料が開発されはじめている。ナノワイヤーは繊維状物質であり、石綿のように肺に長く留まり、じん肺などの健康影響を引き起こす可能性がある。また、石綿と同様にその長さが健康影響を左右する因子となる可能性がある。そのため、長さの異なるナノワイヤーを作成し、これを実験動物に投与し、その影響を把握することを計画している。 ナノワイヤーの有害性を実験動物を用いて評価するにあたり、ナノワイヤーの径や長さなどの物理化学的特性も重要な因子であるが、投与量も重要な因子であり、今年度は、予備実験としてラットに1mgのナノワイヤー(50nm×40micrometer)分散液を気管内注入し、病理組織学的評価を行った。その結果、投与後3日目の組織は、全例で、Mφの増加、Ⅱ型肺胞上皮細胞の増生、一部に出血を伴っており、かなり大きな影響を与えていた。そのため、最大投与量は1mg程度以下で試験を行う必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本実験では、長さの異なるナノワイヤーを実験動物に投与し、その有害性を評価することを目的としているが、その前段階の目標として、長さの異なるナノワイヤーを作製することを目的としている。現在、長いナノワイヤーから短いナノワイヤーを作製しており、これが成功すれば、動物実験に進むことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、長さの異なるナノワイヤーを作製している。これが成功した後は、長さの異なる2種のナノワイヤーをラットの気管内に注入試験を行い、経時的にラットを解剖し、肺内に存在しているナノワイヤーを定量する。また、各解剖時に、ラット肺の病理組織切片も作製し、組織の評価も行う。これらの肺内滞留性および病理組織評価の結果から、金属ナノワイヤーの長さが、組織へ及ぼす影響を評価する。
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