2016 Fiscal Year Research-status Report
急増する第3、第4世代セファロスポリン耐性サルモネラの食品汚染抑制の為の基礎研究
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15K08794
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
村上 光一 国立感染症研究所, 感染症疫学センター, 室長 (70446839)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サルモネラ / 鶏肉 / 鶏 / 薬剤耐性 / セファロスポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
鶏肉由来サルモネラの薬剤耐性、特にセファロスポリン耐性に関して検討した。2005年以降 Amp-C 産生菌株が急増した。しかし、2015年分離株(全国8地方のうち7地方から収集した鶏肉より分離した菌株)では、Amp-C 保有菌株は急減していた。この急減は、鶏のワクチン接種時に使用されていた抗菌薬(セフチオフル)の使用中止に呼応したものと考えられた。これに比して、特定の ESBL の存在が目立った。この特定の ESBL の耐性遺伝子の塩基配列を調査し、加えてこの遺伝子がコードされていたプラスミドの遺伝子配列を調査すると、近年日本で確認されたプラスミドであることが判明した。 2種類の血清型のサルモネラを同時に鶏に経口投与した場合、差がない分離率を示した。従来、1日以上の期間を開けて、2種類の菌株を鶏に経口投与した場合、先に投与した菌株が後から投与した菌株の定着を阻害することが知られていた。今回同時投与の場合、相互に阻害しないことが分かった。鶏肉から分離される血清型には偏りが見られるが、この理由は、一度優位になった血清型は、その後も優位を保持することにより、当該状態が認められることが、本実験から考えられた。 特定の血清型が鶏肉分離菌株に遍在する問題に関して、培地の影響を検討した。その結果、それらの影響は観察できなかった。今後、更なる検討を加えていきたい。 西日本と東日本における、鶏肉由来サルモネラの血清型の違いについて検討したが、差異は認められなかった。但し、西日本に比べ、東日本での Infantis の優位がやや見受けられた(統計的有意差なし)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ、予定どおりに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
より多くの分離株を用いて、今後の耐性状況を調査する。プラスミドの全遺伝子配列を比較し、どのようなプラスミドが耐性遺伝子を持ているか検討する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成28年度分についてはほぼ使用済みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり。
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Research Products
(2 results)