2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K08798
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
吉岡 英治 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70435957)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自殺 / 記述疫学 / 服毒 / 臭化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、「手段的自殺の長期的推移」に関する検討を実施した。日本では、1950年代から1960年代にかけて、特に若い世代において自殺率が激しく変動している。すなわち1950年代には自殺率は急増し、1960年代には減少している。そこで今回、使用された自殺手段に着目し、この変動時期にそれぞれの自殺手段の推移はどのようであったかを記述疫学的に明らかにすることを目的に調査を実施した。使用したデータは、1950年から1975年にかけての日本における男女別、年齢階級別、自殺手段別の自殺死亡者数を人口動態統計から入手した。年齢階級は、15から29歳、30から49歳、50歳以上の3区分とした。人口動態統計では死因はICDコードに基づき、分類されている。この時期に使用されたICDコードは、ICD-6(1950-1957)、ICD-7(1958-1967)、ICD-8(1968-1975)である。自殺手段も、ICDコードに基づき、服毒、縊首、溺死、その他(ガス、飛び降りなど)に分類した。さらに1958年から1967年にかけての期間のみ、服毒自殺で使用された物質のデータも入手できた。解析の結果、この時期、女性より男性、年齢の高い世代より低い世代で自殺率が激しく変動していた。手段別では、若い世代では服毒自殺が圧倒的に変動しており、これに比べるとその他の手段は変動幅が小さかった。年齢の高い世代では、この時期縊首が最も多かった。1950年代後半に服毒自殺者数がピークとなっていたが、この時期に使用された物質に関しては、若い世代では臭化物(鎮静剤)が最も多く、ついでその他の鎮静剤(バルビツール系は含まず)であった。 年齢の高い世代に関しては、農薬が最も多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度中に、「手段的自殺の長期的推移」に関する成果を2編、学術論文として報告する予定であったが、1編だけしかできていない。残りの1編は、解析は終了しており、平成29年度の早い段階で学術論文として報告する予定である。 このため、「自殺手段別の地理的分布の検討」および「若い世代の服毒自殺に関する研究」に関するデータ入力はまだ終了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、まず「手段的自殺の長期的推移」の2編目の成果を学術論文として報告する予定である。 そして、「自殺手段別の地理的分布の検討」および「若い世代の服毒自殺に関する研究」に関するデータの構築、解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に発表を予定していた論文のうち1編が完成しなかった。そして、平成29年度に解析を予定していたデータの入力がまだなかったため、当研究費において次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に実施できなかったものは、平成29年度前半に実施することを予定している。
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Research Products
(2 results)