2016 Fiscal Year Research-status Report
総合的機能評価を用いた治療効果ならびに有害事象予測を目指したコホートの構築
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15K08831
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
小川 朝生 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (10466196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 寛也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医長 (30505897) [Withdrawn]
松本 禎久 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医長 (30544522)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会医学 / 衛生学・公衆衛生学 / 高齢者保健 / 介護福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢がん患者と家族に対して、高齢者総合的機能評価(CGA: Comprehensive Geriatric Assessment)に加えて家族間のコミュニケーションや家族機能などの心理社会的評価を取り入れたコホートを組み、高齢者の死生観や家族機能が終末期の意思決定や療養生活の質、療養場所の選択にどのように影響するか、その関連性を明らかにすることを目的にしている。 高齢者の治療には、加齢性身体機能変化だけではなく、高齢者をとりまく心理社会的問題や生活習慣が大きく影響する可能性が指摘されている。また、地域のリソースや介護力や死生観が療養環境の選択と関連するが、その因果関係や効果量についてはまだ明らかになっていない。高齢者に対して、①若年者を対象に設計された支援をそのまま適応して良いのか、②高齢者夫婦に対してどのような支援が望まれるのか、③特に家族に対しても支援を必要とする事例においてどのような支援が望まれ、また必要とされているのか、系統立てた検討がなされていない。そのため、個々の課題との因果関係や効果量がわからないために、効果的な介入モデルを構築することができず、地域包括ケアを構築するうえでの具体的なかつ効果的な支援方法が明らかになっていない。われわれは、地域のリソースや介護力、患者・家族の死生観が療養生活や治療の選択にどのような影響を与えるのかを質的・量的に追跡するコホートを組み、関係性を明らかにすることを計画した。特に欧米と異なる家族を巻き込んだ意思決定について検討を加える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢がん患者と家族に対して、高齢者総合的機能評価(CGA: Comprehensive Geriatric Assessment)に加えて家族間のコミュニケーションや家族機能などの心理社会的評価を取り入れたコホートを組み、高齢者の死生観や家族機能が終末期の意思決定や療養生活の質、療養場所の選択にどのように影響するか、その関連性を明らかにする事を目指して、高齢がん患者を対象としたコホート研究を構築するための実施体制を整えた。 適格基準を満たす患者(①生検などの病理組織学的診断により胃がんまたは大腸がん、肺がんと診断されている、②術前画像検査等でがん薬物療法が可能と判断されている、③登録時の年齢およびPS が以下のいずれかを満たす(登録時の年齢が70-74 歳かつPS 2である、登録時の年齢が75 歳以上かつPS 0-2である)を対象にCSGA日本語版(①医学的社会的患者背景 、②身体機能: Activities of Daily Living(ADLs)、Instrumental Activities of Daily Living (IADLs)、過去6ヶ月間の転倒の回数、③合併症評価:、④栄養状態評価: Subjective Global Assessment(SGA)、⑤認知機能評価: Montreal Cognitive Assessment 日本語版(MOCA-J) 、⑥抑うつ症状評価; Quick Inventory of Depressive Symptomatology-Self Report 日本語版(QIDS-SR)、⑦内服薬、⑧社会機能 、⑨社会的支援:MOS Social Support Survey ⑩治療に関する価値観:)を評価する体系を整備した。実施可能性を検証し、その実施可能性を確認した。進捗については当初の計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
CSGAの原版が途中で改訂されたため、本研究において用いるCSGA日本語版も改訂に合わせた修正作業を行う必要が生じたため、登録を途中で止め、改訂作業を先行して実施して対応することを計画している。 まず、先行して行ったコホートを再解析し、評価項目とサンプルサイズをより詳細に検討する作業をおこなう。 CSGAの原版が改訂されたことを受け、CSGAについては、改めて日本語版を作成する作業を予定する。CSGAの改訂版に対して、標準的な翻訳作業に則り、順翻訳を独立2名の翻訳者に依頼し、比較して日本語原案を作成する。日本語原案をもとに、逆翻訳を2名に翻訳者に独立して依頼し、原版と比較することを通して、日本語訳を修正する。検証は、患者20名を対象に、追跡方法やインタビュー方法を試行しておこなう。。その後、本調査の研究計画書を修正し、倫理委員会の承認を得たうえで、実施する。 改訂版作成作業完了後、CSGAを置き換えて、本調査の研究計画書を作成し、倫理委員会の承認を得たうえで、患者登録を再開する。 登録施設については、まず2施設での開始を予定し、作業担当者改訂版にあわせた教育を開始する。 登録完了後、高齢者総合的機能評価により詳細な患者背景と、有害事象やQOLといったアウトカム指標の関連を検討する。加えて、高齢患者と家族の療養環境や治療選択に、地域のリソースや介護力などのソーシャルサポート、患者家族の死生観がどのように影響を与えるのか、その因果関係の検討を進める。
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Causes of Carryover |
本コホート調査で用いる高齢者機能評価法CSGAの原版が改訂されたため、一度症例登録を中断し、CSGA改訂版に対応した翻訳作業を行う必要が生じた。その結果、新たな翻訳作業及び日本語版の認知面での確認作業を要する。加えて、症例登録作業が次年度に一部持越しになったため、調査員の人件費等への使用が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翻訳は、標準的な翻訳手続きに則り、順翻訳・逆翻訳をそれぞれ独立した2名の翻訳家で進めたのち、専門職によるミーティング費用、逆翻訳の結果を確認する施設委託、実施可能性の確認作業を行い必要があるため、人件費を含めた諸費用に用いる。あわせて、研究リクルート、調査員人件費等の諸費用が次年度に発生する。
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Research Products
(31 results)