2015 Fiscal Year Research-status Report
致死的疾患による心的外傷体験へのコーピングとして機能する精神的成長に関する検討
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15K08832
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
清水 研 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (60501864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里見 絵理子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (40543898)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 外傷後成長 / 質的研究 / 評価尺度 / がん / 日本文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、次のステップである量的研究において用いる日本人のがん患者における「外傷後成長」を測定する評価尺度を決定するために、いままで実施されてきた質的研究に関するレビューを行うと共に、我々が行った日本人のがん患者を対象とした外傷後成長に関する質的研究において得られた26カテゴリーの内容について検討した。 質的研究については、身体疾患を有する患者における外傷後成長に関する質的研究のシステマティックレビュー(Hefferon 2009)に掲載されたすべての論文および、ハンドサーチを行った。 抽出された論文において記載された内容および質的研究で得られた26カテゴリーの内容について、研究において「外傷後成長」を量的に計測する際に使用される妥当性が確認されている唯一の尺度である外傷後成長尺度(Tedeschi 1996)の項目との比較を、当該領域の4人の研究者で行った。その結果、日本文化にまつわる内省的傾向や、身体疾患特有の項目(例:健康に気をつけるようになる)などは認められるものの、その差異はわずかであり、日本人のがん患者特有の新たな評価尺度を用いることメリットよりデメリット(先行研究との比較可能性が担保されないなど)が勝るという結論に至った。 よって、因子構造等は新たに検討することと、既存の尺度では計測されない内容は自由記述を用いて抽出することを条件に、第2段階である量的研究においては、既存の外傷後成長尺度の21項目を利用することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、次のステップである量的研究において用いる日本人のがん患者における「外傷後成長」を測定する評価尺度を決定することであり、その目標は達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
次の目標は、外傷後成長の①因子構造、②出現頻度、③促進因子を検討することである。現在、血液腫瘍の患者を対象としたフィールドにて調査を行う体制が構築された。幹細胞移植を受けた患者を対象に、外傷後成長尺度に用いられた21項目を実施し、あわせて促進要因を検討するための調査が開始されている。高い回答率を達成するために担当医が当該患者に質問紙を配布して返送を持って同意を得る方法をとっており、全国23の医療機関の協力が得られているため、①-③のすべての解析を十分な統計学的なパワーを持って行うためのサンプルサイズであるn=500が達成される見込みである。
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Causes of Carryover |
平成28年度の研究において、28年度と次年度使用額の直接経費を合算して使 用することを計画しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費、消耗品費、旅費、その他
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