2015 Fiscal Year Research-status Report
カルバペネム耐性腸内細菌感染症の効果的感染対策の確立及び新規治療標的の解析
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15K08837
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
貫井 陽子 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (20568232)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 耐性菌 / 感染対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルバペネム系抗菌薬はグラム陰性桿菌による感染症治療の「最後の切り札」として、臨床上重要な抗菌薬である。2012年の米国疾病センターの報告によると、過去10年間でカルバペネム耐性腸内細菌(Carbapenem-resistant Enerobacteriaceae: CRE)は1.2%から4.2%に増加し、特にクレブシエラ属では1.6%から10.4%と急増している。CREは血液中に侵入するとエンドトキシンを産生し、ショックや多臓器不全を引き起こす。CREの国内における疫学は、輸入例を中心として散見され、分離頻度は欧米と比較し低いと考えられていたが詳細は明らかではない。本年度は国内のCREの疫学及び耐性遺伝子保有状況を明らかにすることを目的とした。
2004年4月1日から2013年3月31日までの期間に検出された腸内細菌(27,956株)の内、大腸菌の0.21%、クレブシエラ属の1.4%、シトロバクター属の5.0%、セラチア属の7.0%、セラチア属の7.7%、エンテロバクター属の10.8%、がCREの定義を満たし、これまでの国内の報告と比べ高率であることが判明した。また検出部位は尿32%、呼吸器系30%、腹腔内16%、創部15%、血液3%、血管内カテーテル2%、生殖器系2%であり、欧米の報告と比較すると尿、呼吸器系検体での検出が多い傾向が認められた。現在国内においてもCREの病院内でのアウトブレイクの報告が相次いでいる。上記の検体の取り扱い時には厳重な接触感染対策を行うことが必要と考えられた。また、これらのCREの中で既知の耐性遺伝子(IMP, VIM, KPC, NMCA, OXA, IMI, NDM)保有株を遺伝子解析により除外したところ、Class A型のKPCやD型のOXA型とシークエンス上の相同性が比較的高い新型のカルバペネマーゼ産生株が6株認められた。今後これらの新型カルバペネマーゼ及び新規治療ターゲットの解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に予定していたCREの疫学、最適な感染対策、新型カルバペネマーゼの検出まで予定通り進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は新型のカルバペネマーゼ産生株6株のエックス線構造解析、kinetics解析を進める。また新型カルばペネマーゼ点変異体の作成し、最終的にはマウス敗血症モデルにおける病原性解析を行う。
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Causes of Carryover |
今年度の遺伝子解析などに必要な試薬はすでに保有していたものを使用したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にX線構造解析やkinetics解析などの大規模な解析を予定しており、主に使用する予定である。
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Research Products
(11 results)