2016 Fiscal Year Research-status Report
蛋白分画波形を用いた栄養モニタリングを支援する微量元素の推定
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15K08848
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
久原 太助 高知大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (80457407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 哲朗 高知大学, 医学部附属病院, 特任教授 (50171145)
片岡 浩巳 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 教授 (80398049)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 蛋白電気泳動 / 波形正規化 / 血清亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、日常検査で用いられた検体で問題ないことを明らかにし、比較的安価な費用で検査できる蛋白分画検査を用いてスクリーニングすることを目的し、蛋白組成から判明する疾患群に加えて、血清亜鉛の欠乏状態を把握する手段として利用できることを検討した。 血清亜鉛濃度測定(chelating reagent)と、蛋白電気泳動は、Sebia CAPILLARYS2 PROTEIN(E)6を用いた電気泳動の生波形を使用して正規化を行った。その波形は、albuminとα1分画の間の情報を除去しない生波形データを用いた。易動度は、albuminピーク位置が75、DMFが300となるように易動度を正規化した。その結果、β1ピーク位置が203となる。この易動度の各点に対して血清亜鉛欠乏の有無(≦65μg/dL:1,≧66μg/dL :0)でROC分析を行った。さらに、これらのデータを説明変数としてロジスティック回帰分析を行い、亜鉛欠乏の有無を検出する予測式を作成した。 ROC分析の結果、亜鉛の低下は、PreAlbuminテール位置(易動度:M33)の低下(AUC=0.737)、albuminテール位置(易動度:M77)の低下(AUC=0.750)、β1ピーク位置(易動度:M203)の低下(AUC=0.705)、の結果が得られ、ロジスティック回帰式は、3.607 + ( - 0.065) × M33 + ( - 0.012) × M82 + 0.015 × M83となり、AUC=0.791の結果を得た。 蛋白分画波形の数多くの易動度で、亜鉛欠乏の検査診断特性が得られる特徴的な領域が易動度33, 77,203にあり、ロジスティック回帰分析結果は、AUC=0.791で良好な結果が得られ、これらの情報を総合的に用いて予測した場合は、非常に高い亜鉛欠乏の分離性能を有する判定が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、亜鉛測定における採血管の問題として、採血管のゴムキャップの中に亜鉛が含まれている場合がありその亜鉛が血液に混入し亜鉛が高値となる問題があるが、影響度を調査した結果、現在採用している採血管は問題ないことを明らかにた。そして血清亜鉛濃度を蛋白電気泳動検査で予測することが可能であることを明らかにした。しかしその後、蛋白電気泳動検査装置が故障しメーカで修理中である。修理は時間を要さず完了する予定であるが、修理が完了するまで平成29年度の予定が進捗しないので、進捗状況は『おおむね順調に進展している』とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.血清亜鉛濃度の推定精度の検証:電気泳動から得られた推定値を検証するために、学習データセットとは異なる無作為に抽出した検証用データセット100件を用いて、実測値と推定値を比較検証する。 2.電子カルテに記録された半構造データのデータベース化:電子カルテの臨床経過記録や主観的包括的アセスメント(SGA)、消化吸収機能の状態や、経腸栄養(EN)、静脈栄養(PN)などの記録は、テンプレート形式で入力が行なわれており、そのデータは、半構造化形式で電子カルテのデータベースに記録されている。このデータを構造形式に変換し正規化後、新たな研究用データベースを作成する。このデータベースに蛋白分画波形や、推定した検査値を展開し、それぞれの関係を容易に解析できるデータウェアハウスを構築する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、予備調査として過去に測定したデータをもとに解析したので、測定用試薬や消耗品の購入がなかったことから、平成28年度に繰越し、国際学会で発表した。そして平成28年度に実施した実験結果で、血清亜鉛測定に関して採血管種による測定への影響について検討した結果影響がない(当施設で使用している採血管で亜鉛濃度に影響がない)ことが明らかとなり)別途人件費や消耗品(採血管など)を購入する必要がなくなり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在研究で使用している蛋白電気泳動装置は、平成29年度末から故障が多発し、製造メーカに修理を依頼するための費用に当てるとともに、平成28年度の実験で得られた知見を国際学会で発表するための旅費とする。そして、さらに実験結果をより精度の高いものにするために、蛋白電気泳動装置で測定するための試薬と血清亜鉛測定用試薬の購入を予定している。
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Research Products
(2 results)