2016 Fiscal Year Research-status Report
医療機関ウェブサイトにおけるウェブコンテンツ標準化のための基礎的研究
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15K08855
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
大場 久照 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (50419222)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害者差別解消法 / がん診療連携拠点病院 / ウェブサイト / ウェブアクセシビリティ / ウェブユーザビリティ / 日本工業規格(JIS) / がん医療情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究は障害者差別解消法に基づく病院ウェブサイトのウェブアクセシビリティ(WA)への対応状況を調査し,1年前のウェブサイトとの比較検証することを目的とする。 【方法】北海道・東北地方の64のがん診療連携拠点病院ウェブサイトを対象に,総務省のmiChecker Ver.2を用いてトップページのWAを検証した。WAはJIS X 8341-3:2016に基づく知覚可能,操作可能,理解可能,堅ろう性の各評価項目を用い,それらの点数が80点未満であるWA対応度の低い病院と色覚障害者(視力0.5,第2色覚障害(緑),水晶体透過率0.8と設定)への対応問題点の抽出、WA方針のウェブサイトでの公表と最低レベルのJIS適合レベルAの問題ありの割合と内容を調査した。また,2015年8月時点の同ウェブサイトと比較し,各評価項目で5点以上評価が下がり,かつ4評価項目の平均点が下がっている病院を抽出した。 【結果】WA対応度の低い病院は,北海道8病院,青森県4病院,岩手県5病院,秋田県5病院,宮城県5病院,山形県5病院,福島県6病院であり,特に知覚可能が低評価であった。一方で北海道の4病院では4評価項目の平均が99点と高評価であった。色覚障害者への対応は全体の8割弱の病院で文字色と背景色のコントラスト比3:1に問題が見られた。総務省ガイドラインに基づくWA方針のウェブサイトでの公表は北海道と青森県の各1病院のみであった。JIS適合レベルAに問題のある病院は54病院(85%)であり,その多くが非テキストコンテンツの問題(43%)であった。1年前のウェブサイトより低評価になった病院は全体で19病院(北海道4,青森県4,岩手県3,秋田県2,宮城県3,山形県1,福島県2)であった。 【結論】北海道・東北地方のがん診療連携拠点病院ウェブサイトは障害者差別解消法に基づくWAへの対応に遅れのあることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年4月1日から障害者差別解消法が施行され,厚生労働書からも医療関係事業者向けガイドランが公表されたことから,病院ウェブサイト管理者へのアンケート調査については法施行後半年以上の期間を空けて法やガイドラインの認知度・理解度を調査する必要があると判断したため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度にあたる2017年度は,がん診療連携拠点病院ウェブサイトのウェブアクセシビリティへの対応の遅れが明らかになったことから,病院ウェブサイト管理者・実務者に対し障害者差別解消法や厚生労働省ガイドライン,ウェブアクセシビリティの規格であるJIS X 8341-3:2016の認知度・理解度についてのアンケート調査を行い,医療機関に対し啓蒙・啓発を行うとともに,病院ウェブサイトの住民視点の共通型を提示する予定である。
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Causes of Carryover |
2016年4月中旬に発生した熊本地震の影響で,4月23日に福岡市開催の第18回日本医療マネジメント学会学術総会での口頭発表を取り止めたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
9月上旬に名古屋市で開催予定の統計関連学会連合大会の出張旅費等に充てる予定である。
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