2016 Fiscal Year Research-status Report
遠隔診療の精度向上をめざしたユーザーインターフェース改善のための研究開発
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15K08856
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本間 聡起 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 講師(非常勤) (30190276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 直樹 埼玉医科大学, 保健医療学部, 教授 (40523634)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遠隔医療 / 遠隔診察 / ユーザーインターフェース / 診療記録 / アラートシステム / バイタル・モニタリング / 高齢者診療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の究極の目的は、患者を遠隔地から診察する遠隔診療の普及を促すため、専門的なITに関する知識を持たない医療現場の従事者でも遠隔診療の導入を可能にする、汎用性の高い安価なシステムとプログラムを提示することにある。本課題では、先行研究での実用実験で使用した市販の製品やサービスを組み合わせたシステムを発展させ、医師の記録や患者側介助者の作業などのユーザーインターフェースの改善を目指したソフト・ハード両面での開発を行う。 今年度は、診療記録作業の支援やモニタデータを解析するソフトウェアの開発、及び、患者側でのカメラの開発について仕様書を完成し、その発注から作成までの一連の作業を行った。この中でモニタデータの登録に関しては先行実験の際に利用したものと同じASPサービスを活用することを当初、考えていた。しかし、同サービスは当該年度中に終了し、代わりに、データ登録以外に、在宅患者の観察記録も登録できる在宅医療用の総合プラットホームに発展したサービスとなったため、仕様変更を余儀なくされた。それで、このプラットホームを基本に、画像データも含めた医師用の記録機能も拡張要素として加えた仕様への見直しを行った。また、患者側で使用する観察用カメラについても、最近の通信機器に付属したカメラの機能が高精度化しているため、これを利用した、より汎用性の高い仕様への変更を行い、作成に着手した。これらの仕様変更により、遠隔診療に特化した、よりパワーアップした総合的なプラットホームの体裁を整えた遠隔診療支援システムが完成できる見通しとなった。 さらに本システムでは、先行研究での実験で用いたコンティニュア対応から、最新のアンドロイド機器にも対応する汎用性の高い設計とした。次年度に実用実験を実施するが、これに使用する新たな構成機器の選定、そして、一部については、発注・納品までを今年度中に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、今年度初めまでに、ソフトウェア、専用カメラ等の仕様書を完成し、それぞれの作成にかかる予定であった。しかし、利用を考えていた、モニタデータを登録するための市販のASPサービスが終了となり、代わって、データ登録のみならず、在宅患者の観察記録も登録できる在宅医療用の総合的プラットホームに発展したサービスに変更となった。 このため、本研究開発の仕様を上記のプラットホームを基本に、画像データも含めた医師用の記録機能を含む拡張要素を加える形式に変更した。さらに、使用するアンドロイド対応通信機器の最新バージョンに合わせた仕様の見直しもソフト・ハード両面で行う必要が生じた。以上から、ソフトウェアの正式な契約・発注は、今年度末近くにずれ込んだが、その代わり、詳細な仕様書としたため、発注から完成、納品までの期間は大幅に短縮できる見込みとなり、次年度の実用実験もほぼ遅れずに実施できる見通しになった。また、遠隔診察用カメラの開発についても、アンドロイド対応通信機器を利用する仕様変更を行った。 結果として、ソフトウェアの開発は平成29年4月末に納品との契約になっており、これと連携する分担研究者が担当するカメラやモニタデータのアラートシステムなどの開発も同時期の完成とした。このため、次年度初めから、本課題の成果物を用いた実患者を対象とした遠隔診療実験を計画していたが、開始は1か月程度の遅延となる。しかし、今回の実験で新たに購入する必要がある機器については、大半は、開発品の仕様が明らかになった時点で発注・納品としており、実験を行うに際しての臨床研究の倫理審査についても、すでに申請済みであり、実験の準備は順調である。 以上より、実用実験開始時期が1か月程度、当初予定より遅れるが、年度内に実験終了から、結果解析を終える期間も十分、残ることから、進捗状況は概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の5月下旬~6月初旬に、今回の開発品(ソフト、ハード両者)を実装した遠隔診療システムを用いた実用実験を東京の医師と福島県の高齢者福祉施設を結んで開始する予定である。本実験の期間は6か月としており、期間中には、実験開始時、中間期、終了時の3時点で遠隔診療を担当する医師が現地に赴いて、所見の確認・比較のために対象者の対面診察も行う。
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Causes of Carryover |
ソフトウェア開発の外注分については、当初、考えていた仕様の変更があったため、正式契約締結が遅れ、それに合わせて納品期限も平成29年4月にずれ込んだこと、契約内容において納品時の一時払いの形式となったため、支払が納品時に集中するため、全額が同4月末以降となった。また、カメラ等の機器開発についても、上記ソフトウェアとの連携の関係から最終仕様書の決定以降の着手となったため、使用時期が同様に遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、ソフトウェア開発の代金は平成29年4月末の納品以降に発生する予定である。また、分担研究者が行うカメラ等の機器開発に関しても、平成29年5月中旬頃までの完成となるため、この時期までに同開発用の資金も使用される計画である。
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