2017 Fiscal Year Research-status Report
受療行動調査を用いた患者満足度の経時変化に影響を与える因子探索と介入効果の推定
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15K08859
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
村上 義孝 東邦大学, 医学部, 教授 (90305855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 受療行動調査 / 患者満足度 / 経時変化 / 介入効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
受療行動調査を用い患者満足度の経時変化を検討し、それに影響を与える因子探索、介入効果の推定を行う目的に従い、3年目の本年は以下の研究を実施した。平成8年度から平成26年度までの計7回の受療行動調査のデータ(平成8,11,14,17,20,23,26年度)の必要項目について統計法第33条に基づく申請で入手し、前年に引き続き解析ができるようデータベースを構築するためのプログラムを開発した。 このプログラム開発にあたっては前年同様、外来・入院患者別、基本集計、関連集計にわけることで、6×2×2=24のプログラムが実装できるように準備を進めた。患者満足度、医師の説明に対する理解度など患者の主観的なアウトカム(Patients reported outcomes)の経時的変化に影響を与える因子探索については、前年にデータの示す実態把握が完了したことを受け、これら年次別データセットの検討を実施した。病院環境の改善などの介入効果の推定(統計モデル)については、前年度からの検討を引き継ぎ、マルチレベルモデルを用いた経時変化の大きさが議論可能な統計モデルの検討を続行中である。前年に引き続く検討ではあるものの、複雑な統計モデルの使用によりパラメータ推定における収束の問題があり、期待するような統計モデルになっていない現状がある。この問題の解決策として、より柔軟かつ簡潔な統計モデルの構築をすべく、各種文献および研究者との討議を行った。前年度に引き続き国内外の研究論文など文献の収集を実施し、最新の研究動向を取り入れた解析モデル構築の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
統計法第33条に基づく受療行動調査のデータ申請と関連して、データ提供に関わるやりとりで、本年も予想以上に時間を費やしてしまった結果、データベースの構築が遅れた。満足度などの経時的変化に影響を与える因子探索などの単変量解析と実態把握はほぼ完了したものの、データの階層構造(医療施設―病院―患者個人)に基づいた経時データ解析をマルチレベルモデル(multilevel analysis)で実装、特にパラメータの収束可能な統計プログラムの準備は遅れており、現在プログラム開発の途上にある。データ申請からデータベース構築、データ解析、研究報告などの業務を円滑に実行するため、最終年にあたる次年度は様々な支援を駆使し、努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に入手したデータを再度申請し(申請期限は年度単位であるため)、最終年のデータベース構築を行う。病院環境の改善などの介入効果の推定(統計モデル)について、「患者満足度の経時的変化に影響を与える因子の探索」で検討したマルチレベルモデルを用い経時変化の大きさと有無が検討可能なモデルを作成する。また影響の大きい要因を抽出し、マルチレベルモデルの仮定を緩めた、より実行可能なモデル構築に努める。要因変化にともなう満足度の向上に関しては定量的な評価を行い、介入の有効性について議論する。また、病院環境の改善などの介入効果の推定(シナリオシミュレーション)を初年度に作成したシナリオにしたがって、経時的データ解析から得られた統計モデルに従って、時間軸を入れた介入効果の推定を実施する。
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Causes of Carryover |
(理由)研究実績で述べたように、データベース構築では一定の成果をあげた反面、データ提供の遅れやパラメータ収束の問題にともない、データの階層構造(医療施設―病院―患者個人)に基づいた経時データ解析をマルチレベルモデル(multilevel analysis)で実行する準備は遅れた。
(使用計画)本研究はデータ申請、データベース構築、データ解析、研究報告など業務が多岐にわたる。遅れているプログラム開発を早急に進め、本年度の検討課題の業務を円滑に実行しようと計画している。具体的には研究補助者の確保であるが、それとともにマルチレベル解析の仮定を緩めた、より実際的なモデル作成により結果抽出を進めるとともに、論文・学術発表へ向けた準備を開始、実施する。
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