2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K08869
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
那谷 雅之 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70241627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 周二 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20379944)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱中症 / 高温暴露 / サイトカイン / 細胞内シグナル伝達経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱中症発症のメカニズムとして,熱暴露に対する熱放散のために体表の血流が増加して,腸管の血流が相対的に不足することで腸管粘膜透過性が亢進し,腸内細菌が流入することで生ずる高サイトカイン血症による全身性炎症反応に加え,熱暴露による熱の直接的な影響により生じる各臓器の傷害が考えられている.また,熱中症の予防には,水分とともに塩分及び糖質を摂取することが肝要であると考えられている.しかしながら,これら熱中症の発症及びその予防に関して分子レベルでの機序や効果に関しては十分に明らかにはなっていない. そこで本研究では,熱中症モデルラットを用いて,変動あるいは異常をきたしている細胞内シグナル伝達経路について検討し,さらに,水分や塩分,糖質の摂取が熱暴露時のこれら伝達経路に対してどのような影響を及ぼすのかについても検討を行った. 本年度は,これまでの研究で培ってきた熱中症モデルラットを用いて,生理活性物質であるサイトカインやケモカイン等のシグナル伝達関連因子を蛍光マイクロビーズを利用して網羅的に解析を行った.また,これまでの我々の研究において熱暴露による傷害に効果が認められた糖質を含まない電解質溶液を中心として,さまざまな溶液を事前に投与することにより,熱暴露に対して最も効果のあると思われる至適飲料について,投与期間や投与方法も含めて選定を行った。 現在,これまでに検討したさまざまな溶液の有効性について検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体において熱暴露時にどのような生理活性物質に影響が及ぼされるのかについて検討するための結果を得ることができている。また、熱中症の予防に最適な至適飲料やその摂取方法について検討を行うことができた.したがって,初年度の研究成果としては次年度以降につながる結果を得ることができている.今後,これまでに検討した溶液から検討に適した溶液を選定し,各種条件の熱暴露に対する影響を検討し,生体に対する熱暴露による影響の分子生物学的解明とその予防方法の確立を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度から継続して,熱暴露時に影響の生じる生理活性物質の検討を行った上で,水分,塩分や糖質の摂取のそれぞれが,熱暴露による生理活性物質への影響にどのように連関するのかを解析する.それらの結果に基づいて,熱中症における分子生物学的な病態を解明し,熱中症の予防法の構築,引いては最適な至適飲料の確立を予定している.
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