2016 Fiscal Year Research-status Report
免疫系臓器に特異的に発現するmiR-142ファミリーを用いた長期虐待診断法の開発
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15K08875
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
池松 和哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80332857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 琢磨 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (50634458)
梅原 敬弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60617421)
坪井 貴司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80415231)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性的ストレス / miR-142 family / マウス / Zfpm2 / Dbx2 / Arntl / Robo1 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医実務で経験する成人の虐待例において、剖検所見において決定的な「長期間のストレス持続」を証明する特異的な診断マーカーは全く知られていない。従って、長期に亘るストレス暴露に対する生体の反応を捉える新しい診断マーカーの同定が重要である。本研究では、申請者らが既に同定した免疫系臓器にのみに発現するmiR-142 family(miR-142-3p並びに-5p)について、ストレス反応性を動物モデルで確認後、法医剖検例に応用して慢性的なストレス暴露を証明する分子病理学的診断法の確立を目的として本研究を行っている。 実際にマウスモデルにて、miR-142 familyの発現量をReal Time PCRを用いて検討を行い、候補マーカとなりうるかを確認した。具体的には、胸前・脾臓においてsingle stress群においてはmiR142-3p,5pの発現に有意な増加は認められず、継続的なストレスである1 week stress群にて発現が増加した。以上よりmiR142-3p,5pの発現動態を解析することが長期ストレスの診断につながる可能性があることが示唆される。 ついで、長期ストレス時の病態生理についてさらに解明するためmiR142 familyによって制御されている可能性のあるmRNAの発現量について解析した 。microRNAのデータベースにて15個の遺伝子がPickUpされた。これらの発現量をReal Time PCRを用いて検討した。この結果、Zfpm2,Dbx2,Arntl,Robo1の発現量が変化していた。Arntlは双極性障害を有する患者において睡眠障害と関連していることが過去に報告されており、ストレス時の反応として不眠症が認められることから、このArntlの変化はストレスによる不眠となんらかの関連がある可能性を考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
慢性的なストレスに関与する遺伝子をmiR-142 familyの増減を確認し、miR142 familyによって制御されている可能性のあるmRNAの発現量を検討することで同定した。さらに、一部遺伝子については、その病態生理学的機能をも明らかにした。手の点については、当初の計画にないものであり、計画以上に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
In situ hybridization法を用いて、可視化を行い、組織内局在、発現細胞同定を行う。 剖検症例の集積を行うとともに、剖検症例にてmiR-142 familyを動物モデルと同様の方法にて検討する。剖検症例では、In situ hybridization法を用いた半定量的検討を行う。 これらの結果を踏まえた「長期慢性ストレス」暴露を証明する法医分子病理学的診断法を確立する。
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Research Products
(1 results)