2016 Fiscal Year Research-status Report
深部静脈血栓形成におけるオートファジーのメカニズムの解明とその法医学への応用
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15K08880
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
野坂 みずほ 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00244731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60136611)
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 深部静脈血栓症 / オートファジー / 血栓陳旧度 / LC3 / p62 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国における肺血栓塞栓症の発症数は増加の一途であり,臨床医学においてのみならず,法医学分野においても,血栓の形成・溶解の機序についてのさらなる解明が望まれる.その一端として,血栓陳旧度にともなう分子機構の動態として,血栓中のCCR5の役割と,細胞内のタンパク質分解経路のひとつであり,さまざまな疾患に関与しているオートファジーの発現・動態について,主として免疫組織学的手法を用いて解明した.今後はさらに血栓中のオートファジーの分子メカニズムとその機能を解明し,法医学分野への応用を目指す包括的研究を行う. 本研究課題は,下大静脈結紮による深部静脈血栓塞栓症モデル(マウス)を用いた基礎的データの収集および陳旧度に伴う血栓内のオートファジーの病態生理学的役割とメカニズムの解析と,それに基づいた剖検例への応用の可能性についての検討から成るものである. 下大静脈結紮による深部静脈血栓症モデルを作成する.下大静脈結紮後1~21日目に安楽死させ,血栓を含む下大静脈部を採取する.これらの下大静脈は10%ホルマリンにより固定し,パラフィン包埋切片を作成した. 血栓内における陳旧度にともなう分子機構の動態としてはCCL3/CCR5,CCL4/CCR5およびCCL5/CCR5 axisの欠損が,それぞれuPA,VEGF,tPA発現を抑制することによって血栓溶解を阻害すると考えられ,CCR5は,DVT治療の有用な分子標的となり得ることが示唆された.さらに血栓形成および溶解過程において,現在最も研究が進んでいるオートファゴソームのマーカーであるLC3およびLC3に結合して選択的分解されるタンパク質であるp62/SQSTM1について,すでに免疫組織化学的検索を行い,これらの動態をほぼ明らかにしたところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は,下大静脈結紮による深部静脈血栓塞栓症モデル(マウス)を用いた基礎的データの収集および陳旧度に伴う血栓内のオートファジーの病態生理学的役割とメカニズムの解析と,それに基づいた剖検例への応用の可能性についての検討から成るものである. 前者については下大静脈結紮による深部静脈血栓症モデルはすでに確立しており,下大静脈結紮後1~21日目に安楽死させ,血栓を含む下大静脈部を採取することにより血栓陳旧度別の組織標本を得ることが可能となっている. 血栓内における陳旧度にともなう分子機構の動態としては,野生型マウスとCCR5ノックアウトマウスの血栓を比較検討することにより,CCR5が血栓溶解に関わっていることが判明し,さらに遺伝子解析やマウスから採取した腹腔内マクロファージを用いたin vitro実験により,CCL3/CCR5,CCL4/CCR5およびCCL5/CCR5 axisの欠損が,それぞれuPA,VEGF,tPA発現を抑制することによって血栓溶解を阻害することが判明した.さらに血栓形成および溶解過程において,現在最も研究が進んでいるオートファゴソームのマーカーであるLC3およびLC3に結合して選択的分解されるタンパク質であるp62/SQSTM1について,すでに免疫組織化学的検索を行い,これらの動態をほぼ明らかにしたところである.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者の増加や,食生活の変化をはじめ,深部静脈血栓塞栓症(DVT)を惹起する要因は今後も増え続けることが予想される.したがって,本研究の結果は,法医学分野への応用のみならず,臨床医学においてもDVTの予防・治療方法の確立に重要な示唆を与えると考えられる.そこで今後は次の点に重点を置いて研究を推進する. 血栓内陳旧度にともなう血栓中の分子機構の動態の一部については,すでに,好中球,マクロファージ,IFN-gamma,TNF-alpha,TNR-receptor type 1,IL-6,CCR5等で明らかにしてきた.マクロファージとマクロファージにより産生される細胞との関連性も明らかにしているところである.本研究によりさらに血栓形成および溶解過程において,オートファジーに関与する分子の免疫組織化学的検索ならびに遺伝子発現の解析,タンパク質発現の解析により明らかにすることを目指す.現在最も研究が進んでいるオートファゴソームのマーカーであるLC3およびLC3に結合して選択的分解されるタンパク質であるp62/SQSTM1について,すでに免疫組織化学的検索を行い,これらの動態をほぼ明らかにしたところであるが,両者の関連性について,さらに詳細な検討が必要である. 以上,基礎的研究結果に基づいて,血栓形成および溶解過程におけるオートファジーの動態を解明することにより法医実務的研究へと発展させる.
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Research Products
(24 results)