2017 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of smooth muscle cell transformation in cerebral blood vessel using differentiation marker and its application to forensic examination.
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15K08887
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
呂 彩子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (50296555)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 法医病理学 / 脳動脈 / 脳動脈瘤 / 中膜平滑筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度は、脳動脈瘤の有無による脳血管平滑筋細胞の特徴を観察した。 破裂脳動脈瘤25例につき、破裂部の連続組織切片標本を作製し、一般組織染色および免疫組織染色で平滑筋細胞の分化および関連細胞の反応を観察した。結果は、組織標本枚数から算出される動脈瘤の大きさは1.1-12.1mmであり、うち6割が臨床的に破裂リスクとされる5mmより小さかった。検討例の92%は動脈瘤壁に平滑筋細胞が存在し、うち約半数に合成型平滑筋を認めた。88%に瘤壁に局所的な平滑筋細胞の欠損を認め、うち82%に欠損部の外膜側を中心としたマクロファージ浸潤がみられた。突然死例では小さい瘤でも破裂しており、瘤の拡張に伴う壁の菲薄化のみならず、炎症による動脈瘤壁の局所的な融解などが破裂に関与していると考えられた。 さらに、破裂脳動脈瘤7例・未破裂脳動脈瘤5例・脳動脈瘤なし15例の、脳血管の瘤部と脳血管好発部位4箇所につき連続組織切片標本を作製し,免疫組織染色で平滑筋細胞を観察した。結果は、破裂脳動脈瘤例の破裂部瘤壁は菲薄化して平滑筋細胞が殆ど存在せず,その近傍に合成型平滑筋細胞による内膜増生がみられた.破裂部の外膜には局所的なマクロファージと間葉系細胞の浸潤があり,未破裂動脈瘤の瘤壁には同様の細胞浸潤が軽度みられた.脳動脈のない事例の脳血管は収縮型平滑筋細胞が規則的に配列し、動脈硬化部位において内膜を主体としたとマクロファージ浸潤・内膜肥厚部位の合成型平滑筋細胞増生・中膜の収縮型平滑筋細胞の減少がみられた。破裂・非破裂脳動脈瘤例においても動脈硬化部位には同様の所見がみられた。脳動脈瘤壁内の平滑筋細胞の増生の程度や線維性肥厚の状態は事例によって様々で、同じ瘤内でも均一ではないが、破裂部位の外膜に特徴的なマクロファージ浸潤がみられたことから、局所的炎症が破裂に繋がる瘤の形態変化に影響することが示唆された。
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Research Products
(3 results)