2015 Fiscal Year Research-status Report
覚醒剤反復前投与による小胞体ストレスと神経障害:黒質線条体路障害の解明に向けて
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15K08888
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武市 敏明 金沢大学, 医学系, 助教 (90460360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 路 杏林大学, 医学部, 准教授 (60555051)
北村 修 杏林大学, 医学部, 教授 (70266609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | methamphetamine / 小胞体ストレス / 酸化ストレス / 動物実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
少量のMethamphtemine (METH)を反復投与した動物の線条体において、ドーパミン作動性神経の指標となるTyrosine hydroxylase (TH), GABA作動性神経の指標となるGlutamate decarboxylase (GAD), アストロサイトの活性化の指標であるGlial fibrillary acidic protein (GFAP),小胞体ストレスの指標として知られているGlucose-regulated protein 78kDa (Grp78), 酸化ストレスの指標であるCopper/Zinc Superoxide Dismutase (SOD1), をターゲットとしてWestern blotting法を用いて解析した。 神経細胞の指標であるTHやGADに有意な差を認なかった。さらに、細胞障害時に活性化することが知られているGFAPにも有意な差を認めなかった。すなわち少量のMETHを反復投与した線条体においては明らかな細胞障害を認めなかった。しかしながら、Grp78およびSOD1の有意な増加を認め小胞体ストレスだけでなく酸化ストレスも惹起されていた。 また、少量のMETHを反復投与後の動物へ多量のMETHを投与すると、線条体においてはGFAPの有意な増加を認めた。 これらの結果は、これまでの研究により得られた中脳における知見とは若干異なっており、METH少量反復投与の作用が脳の部位において異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
少量のMETH反復投与により中脳に細胞障害や酸化ストレスが引き起こされず小胞体ストレスのみ惹起される動物モデルにおいて、その線条体におけるWestern blotting法による解析では、小胞体ストレスのみならず酸化ストレスの惹起を認めた。これは、当初予期していない結果であったが、当初の予定通りにMETHの少量反復投与後に多量のMETH投与を行った動物の線条体の解析に着手しており、研究の進捗状況としては概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
METHを少量反復投与後に多量のMETH投与を行った動物の線条体について、TH, GAD, GFAP, Grp78, SOD1をターゲットとしたWestern blotting法を用いて解析する。さらに、TH, GAD, マイクログリアの指標であるIonized calcium binding adaptor molecule 1, 神経活動の指標となるc-fos, 細胞の障害の指標となるActivating Transcription Factor 3についての免疫組織化学的手法による解析を合わせることにより、小胞体ストレスと酸化ストレス、細胞障害および神経細胞活動についての解析を行う。
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