2016 Fiscal Year Research-status Report
覚醒剤反復前投与による小胞体ストレスと神経障害:黒質線条体路障害の解明に向けて
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15K08888
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
武市 敏明 金沢大学, 医学系, 助教 (90460360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 路 杏林大学, 医学部, 准教授 (60555051)
北村 修 杏林大学, 医学部, 教授 (70266609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | methamphetamine / striatum / midbrain / GAD67 / VGLUT2 / c-fos / rat / western blotting |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、我々の報告した中脳のドーパミン作動性神経の減少が抑制される少量のMethamphetamine (METH)の反復投与後に多量のMETHを投与する動物モデルの脳について、小胞体ストレスと酸化ストレス及び、ドーパミン作動性神経、GABA作動性神経とグルタミン酸作動性神経のマーカータンパク質についてwestern blottinによる解析を行い、さらに、神経細胞活動の指標であるc-fosについて、免疫蛍光抗体法による解析を行い中脳の黒質と線条体において形成さる神経回路の黒質線条体路への影響について解析することを目的とする。 まず、小胞体ストレスのマーカーとなるGlucose regulated protein 78と酸化ストレスのマーカーとなるSuperoxide dismutase 1は、前投与の有無にかかわらず多量のMETHの投与後に一過性に増加する事が明らかとなった。次に、ドーパミン作動性神経の細胞体が在る黒質を含む中脳の解析において、抑制性の神経のGABA作動性神経のマーカであるGlutamate decarboxylase 67 (GAD67)の発現増加を認めた。さらに、ドーパミン作動性神経の神経軸索の投影先である線条体では、GAD67だけでなく促進系の神経の1つであるグルタミン酸作動性神経のマーカーとなるVesicular glutamate transporter 2の発現増加を認めた。一方、c-fosの解析では、少量のMETH前投与後に多量投与した動物の線条体におけるc-fos発現細胞数は、多量単回投与と比較してさらに増加することを明らかにした。 これらの結果より我々の動物モデルは、黒質線条体路を強化し線条体の神経細胞の易活性化が惹起されたと考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
少量のMETH投与後に多量のMETHを投与したラット脳の線条体では、GABA作動性神経やグルタミン酸作動性神経の指標となるGAD67やVGLUT2が前投与後に多量投与した動物において有意に増加しており、神経回路の黒質線条体路へ影響することが示唆される結果を得た。この黒質線条体路は行動と密接な関係を持っているため、当初予定していなかった動物の行動解析実験を追加している。この様に、脳内の分子生物学的解析のみならず、行動解析にまで研究を進める事が出来ていることから当初の計画以上に研究が進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
このモデル動物の脳において、western blottingにより脳組織中の蛋白発現量に変化を認めた神経のマーカーについて、免疫蛍光抗体法による形態への効果について解析する。さらに、BDNFやGDNFといった神経成長因子について解析を加え、黒質線条体路の神経回路への少量のMETHの反復投与後に多量のMETH投与を投与することによる影響について検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品の試薬の一部を安価な物へと変更したために生じたと思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に使用する消耗品の購入に充てる。
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