2016 Fiscal Year Research-status Report
炎症老化を介したサルコペニア発症進展機構の解明と予防的応用
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15K08898
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20323579)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炎症老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、昨年度に続き加齢性筋肉減少症(サルコペニア)の病態に関して、炎症老化制御(inflammaging)の観点から明らかにすることを目指し、薬剤(核内受容体リガンド、漢方薬など)や運動(トレッドミルなど)、栄養(分枝鎖アミノ酸など)をはじめとする各介入・導入によるサルコペニア制御の可能性を検討し、フレイル・転倒予防をはじめとする介護予防や老年疾患予防・治療に向けた基盤構築を目指している。漢方薬やその成分の中には性ホルモン様作用、抗炎症効果を有する可能性が示されてきていることから、一部の漢方薬について抗炎症効果、サルコペニア抑制効果を主にin vitroで検討した。DMSO (Dimethyl sulfoxide) または蒸留水を用いて漢方薬成分を抽出した。また、骨格筋系培養細胞を用いてLPS(Lipopolysaccharide)や過酸化水素(H2O2)などの添加に対するビタミンD、性ホルモン、HMB(β-Hydroxy-β-Methylbutyrate)分枝鎖アミノ酸代謝物)のほか、漢方薬抽出物・成分などを介した炎症や筋蛋白分解抑制作用の可能性について遺伝子レベルで解析を行なっている。また、引き続きサルコペニア・老化モデルマウスを用いた解析など、漢方薬抽出物・成分を含めた薬剤介入に伴う骨格筋制御作用の可能性についてin vivo、in vitroでの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋骨格系の加齢変化や炎症老化との関連性について遺伝子レベルの解析を中心に進める中、ホルモン、漢方薬、栄養介入、運動介入等によって骨格筋レベルでの抗炎症作用、骨格筋レベルで分化制御作用について遺伝子レベルで解析が進められており、本研究の研究目的、計画は概ね順調に推移していると考えられる。昨年度、今年度で得られた知見を引き続きin vitro、in vivo における解析を進めていき、炎症老化制御の観点からとサルコペニアに対する介入アプローチの可能性を検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
加齢に伴う骨格筋量や機能変化として、筋骨格系における炎症性サイトカイン(マイオカイン)産生上昇の関与が示唆されており、その一因として、加齢に伴う性ホルモンの低下や抗炎症作用の減弱が考えられる。骨格筋量低下を表現型として呈する事が知られている精巣摘除後マウスや卵巣摘除後マウス、後肢懸垂マウスなどについて、昨年度に引き続き骨格筋重量、四肢筋力、筋断面積、骨格筋組成、サイトカイン・老化・アポトーシス・筋分化関連遺伝子、血中サイトカイン濃度について免疫染色、real-time PCR、Western blot等を用いて解析し、各モデルマウス、細胞レベルにおける骨格筋量と炎症老化レベルとの関連性を解析する。また、漢方薬、ホルモン等の薬剤介入による骨格筋関連指標の改善効果について検討する。
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Causes of Carryover |
今年度から次年度にかけて研究を継続する上で、年度末の試薬購入費用を一部次年度に移したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度から次年度にかけて細胞培養、研究を継続するのに必要な試薬に関して、次年度当初に購入し、研究を遂行・継続する予定である。
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